アスベスト廃棄物の処理・処分費用|分類から最終処分まで徹底解説

解体現場の床に置かれた、アスベストを含有すると思われる積層された古い建材と、周囲に散乱する瓦礫のクローズアップ

建物の解体・改修工事で発生するアスベスト廃棄物は、廃棄物処理法に基づき、通常の産業廃棄物とは異なる管理が求められます。また、工事前の事前調査や作業時の飛散防止措置については、大気汚染防止法や石綿障害予防規則などの関係法令も確認しなければなりません。

なかでも重要なのが、「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」の分類です。分類を誤ると、委託できる処理業者、梱包方法、保管方法、運搬方法、処分先が変わり、法令違反や追加費用につながるおそれがあります。

本記事では、アスベスト廃棄物の分類方法から、保管・梱包、収集・運搬、最終処分、マニフェスト管理、処分費用の考え方まで、実務で押さえるべきポイントを体系的に整理します。解体・改修工事に関わる事業者の方は、適正処理の確認資料としてお役立てください。

【本記事の要約】
・アスベスト廃棄物は、主に「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」に分けて管理する
・分類によって、保管・梱包、収集・運搬、処分方法、委託先の許可要件が異なる
・石綿含有産業廃棄物は、重量の0.1%を超えてアスベストを含むものが対象となる
・廃石綿等は特別管理産業廃棄物として、より厳格な管理が必要になる
・不法投棄や無許可業者への委託、マニフェスト不備は刑事罰や行政処分の対象になる

【本記事の要約動画/音声コンテンツ】

目次

アスベスト廃棄物とはどのように分類されるのか?

天井裏の配管設備の周囲に置かれた、撤去されたアスベスト廃棄物(繊維状の物質)を封入した透明なビニール袋。袋には黄色い結束バンドがされている

建物の解体・改修工事など、事業活動に伴って発生するアスベスト廃棄物は、主に「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」に分けて管理されます。 飛散性や建材の種類によって必要な管理方法が変わるため、最初の分類が適正処理の出発点です。

アスベスト廃棄物の法的位置づけと飛散性の違い

同じアスベストを含む廃棄物でも、飛散性が高いものと比較的飛散しにくいものでは、法的な扱いが異なります。分類を誤ると、委託できる業者や処分先、梱包方法まで変わるため注意が必要です。

法的分類特別管理産業廃棄物産業廃棄物
主な性質飛散性が高い比較的飛散しにくいが、破砕・切断で飛散リスクが高まる
含有基準建材・除去物の種類や性状により判断重量の0.1%を超えてアスベストを含有するもの
管理レベル特別管理産業廃棄物として厳格に管理他の廃棄物と分別し、飛散防止措置を講じて管理
主な例吹付けアスベスト、アスベスト含有保温材、除去作業で使用した養生シート・防じんマスク等スレート板、サイディング、ビニル床タイル、石綿セメント管、石綿含有仕上塗材等
主な処分方法溶融・無害化処理、または固型化・安定化・二重こん包後の管理型最終処分場への埋立溶融・無害化処理、または廃棄物の種類に応じた最終処分場での埋立
【判断に迷う場合】

判断に迷う場合は、事前調査結果や分析結果を確認し、必要に応じて専門業者や管轄自治体に相談してください。分類を曖昧にしたまま処理を進めると、委託基準違反や処理基準違反につながる可能性があります。

廃石綿等に該当する主な廃棄物

廃石綿等は、特別管理産業廃棄物に分類されるアスベスト廃棄物です。飛散性が高いものを中心に、通常の産業廃棄物より厳格な保管・収集運搬・処分が求められます。

  • 吹付けアスベストの除去物
  • アスベスト含有保温材の除去物
  • アスベスト含有耐火被覆材の除去物
  • アスベスト含有断熱材の除去物
  • 隔離作業で使用した養生シート
  • 防じんマスクのフィルタ
  • 集じん排気装置に使用したフィルタ
  • アスベストが付着したおそれのある作業衣、靴カバー、清掃用スポンジ等
【資材や保護具も廃石綿等に】

除去した建材そのものだけでなく、作業中にアスベストが付着したおそれのある資材や保護具も、廃石綿等として扱う必要がある点に注意しましょう。

石綿含有産業廃棄物に該当する主な廃棄物

石綿含有産業廃棄物は、工作物の新築、改築または除去に伴って発生する産業廃棄物のうち、廃石綿等以外で、重量の0.1%を超えてアスベストを含むものを指します。

  • スレート板、波形スレート
  • 石綿セメント板、石綿セメント管
  • 石綿含有サイディング
  • 石綿含有ビニル床タイル
  • 石綿含有けい酸カルシウム板
  • 石綿含有パーライト板
  • 石綿含有仕上塗材
  • 石綿含有下地調整塗材
【石綿含有産業廃棄物も安全ではない】

非飛散性の建材であっても、切断、破砕、研磨を行うとアスベスト繊維が飛散するおそれがあります。撤去時は、原則として破砕せず、湿潤化や手ばらしなどの飛散防止措置を講じることが重要です。

アスベスト廃棄物の処理は、どのような手順で進めるべきか?

解体されたコンクリート片の山の上に置かれた虫眼鏡。レンズ越しに、アスベスト繊維を含んでいる可能性のある表面の質感が拡大されている

アスベスト廃棄物の処理は、「分類・確認」「保管・梱包」「収集・運搬」「中間処理・最終処分」「マニフェスト管理」の流れで進めます。各工程に法的要件があるため、順序と記録を明確にすることが大切です。

処理の全体フロー

まずは、事前調査結果をもとに廃棄物の種類を確認し、分類に応じた保管・梱包・委託先を決めます。廃棄物の引き渡し時にはマニフェストを交付し、最終処分の完了まで確認します。

STEP工程主な確認事項
1分類・確認廃石綿等か、石綿含有産業廃棄物かを確認。事前調査結果、建材種別、分析結果を確認する
2保管・梱包湿潤化、こん包、密閉、表示、他廃棄物との分別を行う
3収集・運搬廃棄物の種類に応じた許可業者へ委託し、委託契約書と許可証を確認する
4中間処理・最終処分溶融・無害化処理、または基準に沿った埋立処分を行う
5マニフェスト管理交付、返送確認、処分完了確認、5年間保存を徹底する

排出事業者は元請業者が基本となる

建設工事で発生する産業廃棄物の処理責任は、原則として元請業者が負います。下請業者が実際の撤去作業を行う場合でも、排出事業者としての責任を元請業者が負う点に注意してください。

処理業者へ委託した場合でも、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。委託契約書、許可証、マニフェスト、処理経路を確認し、最終処分が完了するまで管理する必要があります。

アスベスト廃棄物の処分費用は、どのくらい必要?

処分費用は、廃棄物の種類、数量、梱包状態、運搬距離、処分方法、地域の受け入れ体制によって変わります。特に廃石綿等は特別管理産業廃棄物に該当するため、処理費用が高くなりやすい傾向があります。

費用を左右する主な要素

アアスベスト廃棄物の処分費用を見積もる際は、単に「処分単価」だけを見るのではなく、撤去・梱包・保管・運搬・処分までの全体コストで確認する必要があります。

要素費用に影響する理由
廃棄物の分類廃石綿等は特別管理産業廃棄物として扱われるため、石綿含有産業廃棄物より管理コストが高くなりやすい
数量・重量撤去量が多いほど、梱包材、運搬車両、処分費用が増える
撤去方法破砕を避けるための手ばらし、湿潤化、養生などに人件費がかかる
梱包・保管方法二重こん包、密閉容器、表示、専用保管場所の確保などが必要になる
運搬距離対応可能な処分場が限られる地域では、運搬距離が長くなり費用が上がる
処分方法溶融・無害化処理を行う場合、通常の埋立処分より処理費が高くなることがある

廃棄物の種類別に見る費用感

費用は現場条件によって大きく変わるため、以下はあくまで考え方の目安です。実際の見積もりでは、撤去面積、廃棄物量、梱包方法、運搬距離、処分先の受け入れ条件を確認してください。

レベル主な建材費用目安主な処分方法
レベル1 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール等数十万〜数百万円/現場溶融・無害化処理、または固型化・安定化・二重こん包後の管理型最終処分場への埋立
レベル2 アスベスト含有保温材、断熱材、耐火被覆材等数十万〜数百万円/現場溶融・無害化処理、または固型化・安定化・二重こん包後の管理型最終処分場への埋立
レベル3  スレート・サイディング・床タイル等数万〜数十万円/現場廃棄物の種類に応じた最終処分場への埋立等
【費用を抑えるポイント】

事前調査で廃棄物の種別と数量を正確に把握することが、適正な見積もりの前提です。種別の誤認は過剰コストや法令違反の両リスクを招きます。

スレート(レベル3)の処分費用が想定より高くなりやすい理由

スレートは石綿含有産業廃棄物に該当する代表的な建材です。廃石綿等に比べると管理区分は異なりますが、一般廃棄物とは異なる管理が必要です。

手ばらし作業:重ねて積まれていることが多いスレートは、切断・破砕を避けながら一枚ずつ丁寧に撤去する必要があるため、人件費が膨らみやすい

飛散防止措置:作業中の飛散防止のための養生・散水・専用梱包が必要で、これらの費用が加算される

分別の手間:他の廃棄物と混合できないため、現場での分別・保管にコストがかかる

処分場の受け入れ条件:石綿含有廃棄物の受け入れに対応した施設が限られており、運搬距離が長くなるケースもある

廃棄物の分類・確認は、どのように行うのか?

苔や汚れが付着した古い波型スレート屋根の表面と断面を虫眼鏡で拡大している手元。アスベスト繊維が露出している様子が観察できる

分類は、事前調査結果、建材の種類、分析結果、除去方法をもとに判断します。外観だけで断定するのではなく、書面調査・現地確認・分析調査またはアスベスト含有みなしにより、根拠を残すことが大切です。

分類を確認するための5つのポイント

アスベスト廃棄物の分類では、建材そのものの情報だけでなく、除去方法や廃棄物になった後の性状も確認します。特に仕上塗材や下地調整塗材は、除去工法によって廃棄物の扱いが変わる場合があります。

確認事項確認内容
事前調査結果書面調査、現地調査、分析調査の結果を確認する
建材の種類吹付材、保温材、耐火被覆材、断熱材、成形板、床材、仕上塗材などを確認する
含有率石綿含有産業廃棄物は、重量の0.1%を超えてアスベストを含むものが対象となる
飛散性除去時に粉じんが発生しやすい建材か、破砕・切断を伴う作業かを確認する
除去方法手ばらし、剥離、研磨、集じん、湿潤化など、廃棄物の性状に影響する作業方法を確認する

 建設・製造・造船・整備などの現場で、労働者として雇用されアスベストに接していた方。

事前調査と結果報告の義務

解体・改修工事を行う場合、事業者は工事前にアスベストの使用の有無を調査しなければなりません。さらに、一定規模以上の工事では、事前調査結果を電子システムで報告する義務があります。建築物・工作物に関する主な報告対象は以下のとおりです。

報告が必要な工事基準
建築物の解体工事解体部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修工事請負金額が100万円以上
特定工作物の解体・改修工事請負金額が100万円以上

また、建築物の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの資格者等が行う必要があります。工作物についても、2026年1月1日以降着工の一部工事では、工作物石綿事前調査者などによる調査が必要です。

分析を省略できるケースと省略できないケース

アスベストの有無が書面調査や現地確認で明らかに判断できる場合、必ずしもすべての建材で分析が必要になるわけではありません。一方で、使用の有無が不明な建材については、分析調査を行うか、アスベスト含有建材とみなして扱う必要があります。

つまり、「見た目でアスベストなし」と判断して処理することは危険です。判断根拠が残らないまま工事や処分を進めると、後から法令違反や追加調査のリスクが生じます。

アスベスト廃棄物の保管・梱包では、何に注意すればよいか?

軍手と青い滑り止め付きの手袋をした人が、解体作業中に大きな波型アスベストスレート材を両手で持ち上げている

保管・梱包では、飛散・流出・混合を防ぐことが最重要です。廃棄物の種類に応じて、湿潤化、こん包、密閉、表示、分別保管を行い、作業場から処分先まで飛散防止措置を維持する必要があります。

保管・梱包の基本要件

アスベスト廃棄物は、通常の建設廃棄物と混ぜて保管してはいけません。現場内に専用の保管場所を設け、廃棄物の種類が分かるように表示し、飛散や流出を防ぎます。

項目対応内容
湿潤化散水や薬剤を使用し、アスベスト繊維の飛散を抑える
こん包・密閉飛散しないよう、袋・シート・容器などでこん包または密閉する
分別保管廃石綿等、石綿含有産業廃棄物、その他の廃棄物を混合しない
破砕防止収集・運搬・保管中に破砕、切断、圧縮が起こらないようにする
表示廃石綿等または石綿含有廃棄物であることが分かるよう表示する
保管場所囲い、掲示、飛散防止措置を設け、関係者以外が不用意に触れないよう管理する

廃石綿等の梱包・保管で必要な対応

廃石綿等は、特別管理産業廃棄物として特に厳格な管理が必要です。埋立処分を行う場合は、あらかじめ固型化、薬剤による安定化などの措置を講じたうえで、耐水性の材料で二重にこん包することが求められます。

  • 湿潤化などにより飛散を防止する
  • 耐水性のある材料で二重にこん包する
  • 外袋や容器に「廃石綿等」と表示する
  • 他の廃棄物と区分して保管する
  • 保管場所に掲示を行い、飛散・流出・地下浸透を防止する
  • 事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置く

石綿含有産業廃棄物の梱包・保管で必要な対応

石綿含有産業廃棄物は、廃石綿等ほどの管理区分ではありませんが、飛散防止措置と分別保管が必要です。特にスレート板やサイディングなどは、割れたり砕けたりすると粉じんが発生しやすくなります。

撤去後は、破砕しないよう丁寧に積み込み、必要に応じてシートや袋でこん包します。運搬中に荷崩れしないよう固定し、他の廃棄物と混合しないように管理してください。

アスベスト廃棄物の収集・運搬で、守るべきルールとは?

アスベスト除去現場で、防護服と緑色の手袋をした人が、除去に使用したフィルター(繊維状の粉塵が付着)を「特別管理産業廃棄物」と書かれた黄色い廃棄物袋に捨てようとしている

収集・運搬では、廃棄物の種類に応じた許可業者へ委託することが必須です。排出事業者は、委託契約書、許可証、マニフェスト、運搬方法を確認し、無許可業者への委託を避けなければなりません。

収集・運搬時の確認事項

収集・運搬を委託する際は、単に「産業廃棄物業者である」だけでは不十分です。廃棄物の種類、許可区域、許可品目、特別管理産業廃棄物への対応可否を確認しましょう。

確認事項確認内容
許可証収集運搬業の許可区域と品目を確認する。廃石綿等の場合は特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要
委託契約書運搬前に書面で契約を締結する。口頭契約だけで委託しない
運搬車両飛散・流出・破損を防げる車両を使用し、必要に応じてシートや固定措置を講じる
分別他の廃棄物と混合しない。混載する場合も区分できる状態を保つ
表示・書類産業廃棄物収集運搬車の表示や必要書類の備え付けを確認する
マニフェスト廃棄物の引き渡し時に交付し、処理状況を追跡できるようにする

排出事業者が行うべき確認

排出事業者は、処理業者へ任せきりにしてはいけません。委託前、運搬時、処分完了後の各段階で確認が必要です。

  • 委託先の許可証を確認する
  • 許可品目に廃石綿等または石綿含有産業廃棄物が含まれるか確認する
  • 収集運搬先と処分先を明確にする
  • 委託契約書を締結する
  • 廃棄物の引き渡し時にマニフェストを交付する
  • 運搬終了、処分終了、最終処分終了の報告を確認する
  • マニフェストの写しを5年間保存する

アスベスト廃棄物の最終処分は、どのような方法で行うのか?

緑豊かな丘陵地にある、白い飛散防止シートで広範囲に覆われたアスベスト廃棄物の最終処分場(埋立地)

最終処分は、廃棄物の分類と性状に応じて決まります。廃石綿等は溶融・無害化処理が望ましい一方、基準に従って固型化・安定化・二重こん包を行えば、管理型最終処分場で埋立処分する方法もあります。

廃棄物の種別による処分方法の違い

アスベスト廃棄物の処分では、「溶融・無害化処理」と「埋立処分」の考え方を分けて整理する必要があります。原稿作成時には、「廃石綿等は埋立不可」と断定しないよう注意しましょう。

項目廃石綿等石綿含有産業廃棄物
中間処理溶融処理または無害化処理が望ましい溶融処理または無害化処理を行う場合がある
埋立処分固型化・薬剤による安定化・二重こん包などを行い、管理型最終処分場の一定場所で埋立可能廃棄物の種類に応じて、安定型・管理型・遮断型の最終処分場で処分される
注意点飛散・流出を防ぐ措置と、一定場所での埋立・覆土が必要分散しないよう埋立て、飛散・流出を防止する必要がある
委託先特別管理産業廃棄物処分業の許可を確認する産業廃棄物処分業の許可品目と受け入れ条件を確認する

主な処分方法の概要

処分方法は大きく3種類に分かれます。廃棄物の分類に応じた施設・方法を選択してください。

溶融処理:高温で処理し、アスベスト繊維を変性・無害化する方法です。廃石綿等や石綿含有産業廃棄物の処理経路として用いられます。

無害化処理:環境大臣の認定を受けた方法により、アスベストによる生活環境保全上の支障をなくす処理です。

埋立処分:基準に沿って飛散・流出を防ぎ、最終処分場の一定場所に埋め立てる方法です。廃石綿等は管理型最終処分場での処分が必要です。

【確認事項】

処分業者の「産業廃棄物処分業許可証」に、処理できる廃棄物の種類が記載されています。廃石綿等の場合は「特別管理産業廃棄物処分業」の許可が必要です。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)はどのように管理すべきか

マニフェストは、産業廃棄物が適正に処理されたことを確認するための法定書類です。排出事業者は廃棄物の引き渡し時に交付し、処分終了後に写しを確認したうえで、5年間保存する必要があります。

マニフェストの必須記載事項

記載・確認事項内容
排出事業者排出事業者の氏名または名称、住所を記載する
廃棄物の種類廃石綿等、石綿含有産業廃棄物など、種類を正確に記載する
数量重量、容量、袋数など、実態に合った数量を記載する
収集運搬業者業者名、許可内容、運搬先を確認する
処分業者処分業者名、処分方法、処分施設を確認する
交付年月日廃棄物を引き渡した日を記載する
返送確認運搬終了、処分終了、最終処分終了の写しを確認する
保存期間マニフェストのA票および返送された写しを5年間保存する

電子マニフェストと紙マニフェストの違い

マニフェストには、電子マニフェストと紙マニフェストがあります。どちらを使う場合でも、排出事業者が処理完了まで確認する責任を負う点は変わりません。

種類特徴
電子マニフェストJWセンターのシステムを利用して管理する。記録管理や行政報告の負担を軽減しやすい
紙マニフェストA票からE票までの複写式伝票を使用する。返送された写しを確認し、5年間保存する

紙マニフェストの場合、返送期限を過ぎても写しが戻らないときは、処理状況を確認し、必要に応じて都道府県知事等へ報告する必要があります。返送確認を怠らない体制づくりが重要です。

アスベスト廃棄物の処理規定に違反した場合、どのようなリスクがあるか?

違反した場合、刑事罰、行政処分、民事上の責任、社会的信用の低下が同時に生じるおそれがあります。特に不法投棄、無許可業者への委託、マニフェスト不備は重大なリスクとなるため注意が必要です。

主な違反内容と罰則

廃棄物処理法や大気汚染防止法に違反すると、以下のような罰則の対象となる可能性があります。実際の適用は違反内容や状況によって異なるため、疑義がある場合は管轄自治体や専門家に確認してください。

違反内容主な罰則・リスク関係法令
不法投棄5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその併科。法人は3億円以下の罰金の対象となる場合がある廃棄物処理法
無許可業者への委託委託基準違反として、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象となる場合がある廃棄物処理法
マニフェスト不交付・虚偽記載・保存義務違反1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となる場合がある廃棄物処理法
事前調査結果の未報告・虚偽報告30万円以下の罰金の対象となる場合がある大気汚染防止法
作業基準違反・命令違反改善命令、作業停止、罰則の対象となる場合がある大気汚染防止法、石綿障害予防規則等

刑事罰以外に生じるリスク

アスベスト廃棄物の不適正処理は、罰則だけで終わる問題ではありません。行政処分や信用低下によって、事業継続に大きな影響が出る可能性があります。

行政指導・改善命令:保管、運搬、処分、報告の不備に対して指導や命令を受ける場合があります。

許可取消・営業停止:産業廃棄物処理業や建設業の許可に影響する可能性があります。

原状回復費用の発生:不法投棄や不適正処理があった場合、撤去・処理費用を負担するリスクがあります。

指名停止:公共工事の入札参加に影響する場合があります。

信用低下:行政処分の公表や取引先への説明対応により、企業イメージが損なわれる可能性があります。

アスベスト廃棄物の処理について、よくある質問(FAQ)

天井材が撤去され、床一面にアスベストを含有する可能性のある古い建材の破片が散乱している解体現場の室内。脚立が置かれている

アスベスト廃棄物の処理では、分類、費用、マニフェスト、個人での処分などで迷うケースが多くあります。ここでは、実務担当者が確認しておきたい代表的な疑問を整理します。

Q1. 廃石綿等と石綿含有産業廃棄物を見た目で判断できますか?

A. 見た目だけで正確に判断することはできません。事前調査結果、建材の種類、分析結果、除去方法などをもとに判断する必要があります。アスベストの有無が不明な場合は、分析調査を行うか、アスベスト含有建材とみなして扱うことが基本です。

Q2. マニフェストの写しはいつまで保存すればよいですか?

A. マニフェストのA票および返送された写しは、5年間保存する必要があります。電子マニフェストを利用する場合も、処理状況の確認を怠らないようにしてください。

Q3. 個人がアスベスト廃棄物を自分で処分できますか?

A. 個人が自己判断でアスベスト廃棄物を処分することは、原則として認められていません。通常のごみとして排出したり、自己判断で破砕・埋め立てたりすることは、廃棄物処理法違反や健康被害のリスクにつながります。まずは市区町村の窓口、解体・改修工事を依頼した業者、または専門業者へ相談してください。

Q4. アスベスト廃棄物は通常の建設廃棄物と一緒に運べますか?

A. 原則として、他の廃棄物と混合しないよう分別して扱う必要があります。やむを得ず同じ車両で運搬する場合でも、廃棄物の区分が明確で、飛散・破損・混合が起こらない状態を保たなければなりません。実務上は、事前に処理業者と運搬方法を確認することが重要です。

正しい知識と事前分析で廃棄物リスクを最小限に抑える

アスベスト廃棄物の処理では、最初の分類が非常に重要です。廃石綿等に該当するのか、石綿含有産業廃棄物に該当するのかによって、保管、梱包、収集・運搬、処分、マニフェスト管理の要件が変わります。

特に注意したいのは、アスベスト廃棄物を「通常の建設廃棄物」と同じ感覚で扱わないことです。破砕や混合を避け、湿潤化やこん包、分別保管を徹底し、許可内容を確認した業者へ委託する必要があります。

また、処分費用を適正に管理するためにも、事前調査の段階で建材の種類、含有の有無、数量、撤去方法を明確にしておくことが大切です。分類が曖昧なまま工事を進めると、追加調査、再梱包、処分先変更、行政対応などにより、結果的にコストが膨らむ可能性があります。

アルフレッドでは、アスベスト分析をスピーディかつ高精度に実施しています。安定して土曜日を含む3営業日以内の短納期で分析結果をお出しできるほか、分析者や機器情報など詳細が記載される行政向け報告書の作成にも対応しています。解体・改修工事前のアスベスト調査や、廃棄物分類の根拠整理でお困りの際は、ぜひご相談ください。

【参考文献】
国土交通省:「アスベスト対策Q&A」
環境省:「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」
厚生労働省:「アスベスト(石綿)に関するQ&A」

監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

 
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