耐古い建築物にはアスベストが使用されている場合があるため、解体・改修工事を行う際には事前の調かつて耐火性や断熱性に優れた建材として重宝され、さまざまな建築物に使用されていたアスベスト(石綿)。しかし、健康被害のリスクがあることが明らかになり、現在では厳しく規制されています。それでも、築年数の古い建物には今もなおアスベストを含む壁材や塗材が残されている可能性があり、改修や解体の際に適切な対応をしなければ、思わぬリスクを招くことになります。
では、どのような場所にアスベストが使われているのか、また、それを見分ける方法はあるのでしょうか?万が一アスベストを含む壁材を発見した場合、どのように対処すべきなのでしょうか?本記事では、内装壁や外装壁に使用されていたアスベストの種類や特徴、安全な対応方法について詳しく解説していきます。
【本記事の要約】
・内装壁や外装壁に使用されているアスベスト含有建材を建築物ごとの使用場所や特徴から見極める
・過去にアスベストが含まれていた仕上塗材・下地調整材製品を把握する
・アスベスト含有建材・塗材などの見分け方とレベルごとで異なる除去方法を学ぶ
古い建造物や工作物の解体・改修に関わる企業・事業者にとって避けて通れないのがアスベスト問題です。飛散した繊維を長期間に渡って吸入することで健康被害の可能性があることが明らかになり、現在日本では、アスベスト含有建材や塗料などの取り扱いに関して、様々な規制が制定されています。
建材などの中に固定され大気中に浮遊しない状態であれば危険性は低いのですが、工事の際の研磨や切断、除去作業中に飛散しやすいため、適切な対策が必要です。
アスベストの用途は約3,000種ともいわれ、約8割は吹付け材や保温・断熱材、スレート材といった建材として活用されていました。
日本では1955年頃から幅広く使用され、ピークは1970年~1980年頃。一般住宅をはじめ、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、比較的大規模な鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として多量に使用されています。
1975年以降、国内では労働安全衛生法や大気汚染防止法などの関連法規が整備され、アスベスト含有製品の使用を段階的に制限してきました。2006年9月には、労働安全衛生法施行令の改正により、アスベスト含有建材の製造、輸入、譲渡、提供、使用を原則的に禁止。ただし、一部の工業製品については、代替技術の開発状況などを考慮し、2012年まで猶予期間が設けられました。
この規制以降に着工された建造物は、基本的にアスベストの心配はありませんが、2006年9月以前に建てられた建物は、アスベスト含有建材が使用されている可能性が高いので注意が必要です。
アスベスト含有建材は、飛散しやすさを示す「発じん性」に基づいて、最も発じん性が高いレベル1から比較的リスクが低いレベル3まで、3つのレベルに分類されています。
基本的にはこのレベルによって、作業者のばく露防止措置や飛散・漏えい防止策が異なりますが、実際は使用状況や環境によっても発じん性の高さは異なるので、劣化が進んでいる場合や毛羽立ちが見られる場合には、専門業者による調査が必要です。
天井や壁、床をはじめ、建築物や工作物のあらゆる部分に使用されていたアスベスト含有建材。その中から内装壁や外装壁に使用されていた可能性が高い建材をレベル別にピックアップしました。このリスト以外の建材に関しては、引用元を参照してください。
壁材として使用されていた含有建材はレベル3に該当するものが多く、大半が固く成形された状態のため発じん性が低いのが特徴です。ただし、2021年4月に施行された大気汚染防止法の改正により、レベル3建材もレベル1、2と同様に規制対象に追加。除去時における作業基準が新設され、慎重な取り扱いが求められています。
飛び散りやすい綿状で施工されているため、発じん性が高く、健康被害のリスクが高い含有建材。主に耐火性や断熱性、吸音性、意向性を目的として、天井、壁などに使用されています。少しの衝撃でも飛散する恐れがあるため、解体作業においては飛散する可能性があり、しっかりとした対策が必要です。
種類 | 建材の種類 | 製造時期 | 主な使用部位と用途 | 特徴 |
吹き付け材 | 石綿含有吹付けバーミキュライト | ~1988 | ・天井断熱材・吸音材・結露防止用 | ・黄金色で光沢があり、弾力がある |
石綿含有吹付けパーライト | ~1989 | ・内装材の天井梁型、吸音、仕上げ材 | ・骨材混入の粗面吹付仕上げ |
壁に使用されているアスベスト含有建材は、大半がアスベストレベル3に該当します。硬く成形された板状で使用されることが多いため、比較的発じん性が低く、低リスクで除去が可能ですが、建材が破損した場合はアスベストが飛散するので慎重な取り扱いが必要です。
また、建物の種類を問わず様々な建物で使用されているのも大きな特徴。ここでは、数あるレベル3の建材の中でも、特に使用頻度が高いものをピックアップして紹介します。他の建材につきましては、引用元を確認してください。
種類 | 建材の種類 | 製造時期 | 主な使用部位と用途 | 特徴 |
内装材 (壁・ 天井) | 石綿含有スレートボード各種 | 1931~2004 | ・内装材としては壁材、天井材等に使用されている・フレキシブル板は湿度による変化が少ないことから、浴室の壁・天井、台所の壁などにも使用されている | ・建築用ボードとして高強度と靭性を持つ・湿度による膨張・収縮が少ない・石綿含有率は10~30% |
石綿含有けい酸カルシウム板第1種 | 1960~2004 | ・一般建築物の天井材、壁材として使用されている・外装では、軒天井材とその関連部材、準防火地域での軒裏などに使用されている | ・軽量で耐火性、断熱性に優れている | |
石綿含有パルプセメント板 | 1958~2004 | ・大半の製品が準不燃材料・軒天井材、内装材の製品がある | ・軽量で加工性もよく、防火性、遮音性、吸音性に優れている | |
石綿含有スラグせっこう板 | 1978~2003 | ・大半の製品が不燃材料・火気使用室への施工が可能 | ・スラグ、せっこうを主原料とし、繊維を補強材とした加工性のよい材料である | |
外装材(外壁・軒天) | 石綿含有押出成形セメント板 | 1970~2004 | ・一般的には非耐力壁用材料として用いられる | ・外壁材としては、厚さ 50mm 以上の製品が用いられる |
引用元:アスベスト含有建材の一覧から注意すべき年代、除去方法まで徹底解説!
アスベストを含む壁材が実際にどのようなところに使用されているのかをより明確化するために、建築物ごとに使用されている可能性がある含有建材とその施工場所を解説していきます。
一般住宅や共同住宅の他、ビルや公共施設、特殊建造物などその種類は様々。いかに広範囲に渡ってアスベストが使用されていたかがよく分かります。
平屋及び2階建ての住居でも、かつてはアスベストが含まれた建材が内外装に使用されていました。特にキッチンや水廻り部分が使用されている可能性が高くなっています。
外装 | 壁 | 石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 |
外壁化粧吹き付け | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け | |
内装 | 室内壁 | 石綿含有けい酸カルシウム板第一種、じゅらく壁 |
浴室壁・厨房壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 |
アパート、マンションなどの共同住宅では、防音を目的とした壁にもアスベスト含有建材が使われている可能性があります。また、耐火構造面でも使用しているのが一般住宅との大きな違いです。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
外装 | 壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有押出成形セメント板 |
ベランダ隔壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 | |
外壁化粧吹き付け | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け | |
防音壁 | 石綿含有押出成形セメント板 | |
内装 | 室内壁・廊下壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 |
間仕切壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁・浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 |
学校や幼稚園、保育園、病院といった人が多く集まる建物には、鉄骨などの耐火被覆材、防火材料としてアスベスト含有建材が使用されています。内外装の壁に使用されている建材の種類は共同住宅とほぼ同じです。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有けい酸カルシウム板第二種、石綿含有けい酸カルシウム板第一種 |
外装 | 壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有押出成形セメント板 |
防音壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有押出成形セメント板 | |
内装 | 室内壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 |
廊下壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
間仕切壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 | |
巾木 | 石綿含有ソフト巾木 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種 |
商用ビル、民間ビル、庁舎などの建築物も、鉄骨などの耐火被覆材、防火材料としてアスベスト含有建材が随所に使用されています。また、レベル1に該当する吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有蛭石・パーライト吹き付けが使われている可能性が高いのも大きな特徴です。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 石綿含有けい酸カルシウム板第二種、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
外装 | 壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 |
ベランダ隔壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有パルプセメント板 | |
防音壁 | 石綿含有押出成形セメント板 | |
内装 | 室内壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 |
廊下壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
間仕切壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 | |
巾木 | 石綿含有ソフト巾木 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
特殊建築物には劇場・映画館・ホール・公会堂・デパート・遊技場などがあり、ビルと同様に、レベル1に該当する吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有蛭石・パーライト吹き付けが使われている可能性が高いのが特徴です。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有けい酸カルシウム板第二種、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
外装 | 壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 |
防音壁 | 石綿含有押出成形セメント板 | |
内装 | 室内壁・廊下壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 |
間仕切壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 | |
巾木 | 石綿含有ソフト巾木 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
駅舎、飛行場、トラックヤードなどが該当する運輸関連建築物。各所に使用されているアスベスト含有建材は、ビルや特殊建築物とほぼ同じです。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 石綿含有けい酸カルシウム板第二種、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
外装 | 壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 |
防音壁 | 石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 | |
内装 | 室内壁・廊下壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 |
間仕切壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 | |
巾木 | 石綿含有ソフト巾木 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種 |
製造設備などを設置している工場建屋も、各所でアスベスト含有建材が使用されている可能性が高い建築物です。なお、工場の事務所などの建築物に関しては、商用ビルもしくは、特殊建築物を参照してください。
耐火構造 | 耐火・遮音間仕切壁 | 石綿含有けい酸カルシウム板第二種、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
外装 | 壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有窯業サイディング材 |
防音壁 | 石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
内装 | 室内壁・廊下壁 | 石綿含有蛭石・パーライト吹き付け、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 |
間仕切壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 | |
巾木 | 石綿含有ソフト巾木 | |
トイレ壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
厨房壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有押出成形セメント板、石綿含有パルプセメント板 | |
浴室壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種 |
防音性や断熱性、耐火性に優れるアスベスト含有建材は、立体駐車場や体育館に適した材料として重宝していました。また、立体駐車場のみならず、地下駐車場の天井や壁にも吹き付けアスベストが使われていることが多いので注意が必要です。
外装 | 立体駐車場外壁 | 吹き付け石綿、石綿含有吹き付けロックウール、石綿含有スレート波板、石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有押出成形セメント板 |
体育館外壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有押出成形セメント板 | |
内装 | 体育館内壁 | 石綿含有スレートボード、石綿含有けい酸カルシウム板第一種、石綿含有スラグせっこう板、石綿含有パルプセメント板 |
アスベストは建材だけではなく、和室の壁に多く施工されている京壁やじゅらく壁といった建築用仕上塗材や建築用下地調整材にも含まれている可能性があります。
仕上塗材に関しては、2021年4月に施行された大気汚染防止法の改正で、レベル1建材からレベル3建材に変更されましたが、石綿含有吹付けパーライト、石綿含有吹付けバーミキュライト(ひる石)は、変わらずレベル1建材としての対応が必要なので留意してください。
過去にアスベストが含まれていた仕上塗材・下地調整材製品の種類は、材料メーカーの団体である日本建築仕上材工業会(NSK)が公表しているデータで確認できます。
ただし、同会に属する企業へのアンケートをまとめたものなので、全ての情報が揃っているわけではありません。ここに掲載されていない製品からもアスベストが検出される可能性もあるため、着工前にしっかりとした調査が必要です。
塗材の種類 | 販売期間 | 石綿含有量(%) | |
建築用仕上塗材 | 薄塗材C(セメントリシン) | 1981〜1988 | 0.4 |
薄塗材E(樹脂リシン) | 1979~1987 | 0.1~0.9 | |
外装薄塗材S(溶剤リシン) | 1976~1988 | 0.9 | |
可とう形外装薄塗材E(弾性リシン) | 1973~1993 | 1.5 | |
防水形外装薄塗材E(単層弾性) | 1979〜1988 | 0.1〜0.2 | |
内装薄塗材Si(シリカリシン) | 1978〜1987 | 0.1 | |
内装薄塗材E(じゅらく) | 1972〜1988 | 0.2〜0.9 | |
内装薄塗材W(京壁・じゅらく) | 1970〜1987 | 0.4〜0.9 | |
複層塗材C(セメント系吹付けタイル) | 1970~1985 | 0.2 | |
複層塗材CE(セメント系吹付けタイル) | 1973~1999 | 0.1~0.5 | |
複層塗材E(アクリル系吹付けタイル) | 1970~1999 | 0.1~5.0 | |
複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル) | 1975~1999 | 0.3~1.0 | |
複層塗材RE(水系エポキシタイル) | 1970~1999 | 0.1~3.0 | |
複層塗材RS(溶剤系吹付けタイル) | 1976~1988 | 0.1~3.2 | |
防水形複層塗材E(複層弾性) | 1974~1996 | 0.1~4.6 | |
厚塗材C(セメントスタッコ) | 1975~1999 | 0.1~3.2 | |
厚塗材E(樹脂スタッコ) | 1975~1988 | 0.1~0.4 | |
軽量塗材(吹付けパーライト) | 1965〜1992 | 0.4〜24.4 | |
建築用下地調整塗材 | 下地調整塗材C(セメント系フィラー) | 1970~2005 | 0.1~6.2 |
下地調整塗材E(樹脂系フィラー) | 1982~1987 | 0.5 |
吹き付けアスベストの場合、表面の質感や繊維の露出、色、触感などから推測できることもありますが、基本的に似た見た目の建材や含有率が低いものもあるため、アスベスト建材を目視で見分けるのは困難です。
建築時期やアスベストマークの有無、商品名の確認である程度判別しつつ、最終的には専門の分析業者に任せた方が確実で安心です。
アスベストを含む可能性がある建材には、アスベストマークが表示されていることがあります。マークは「アスベスト含有」や「注意:アスベスト」などの文字とともに、警告シンボルが記載されている場合が多いので、建材や製品の表面を確認してみましょう。
また、建材や断熱材などの製品には、製品ラベルや説明書にアスベストの有無が記載されていることもあるので、保存している際は併せてチェックしてください。
0.1重量%を超える石綿含有製品が使用禁止となった2006年9月1日以前の建築物には、アスベスト含有建材が使用されていた可能性があるため、事前調査が必須です。
これは法律でも認められており、2006年9月1日以降に建てられた建物については、設計図などで着工日が確認できる場合、アスベストの目視による事前調査は不要とされています。
アスベスト含有建材の有無を見分ける上で有効なのが、設計図書や図面の確認です。壁内部や天井裏など、直接目で確認できない部分まで調べることができ、的確な対策が可能になります。
ただし、図面で含有建材を洗い出した後は、実際に目視で確認し、図面と実物が一致するかを照合することも大切。建材名称は俗称が使われることがあるため、図面と実物で名称が異なる場合もあるので注意しましょう。
建築時期や設計図書からある程度は類推できますが、老朽化による劣化や建材の状態によっては目視だけでは判断が難しく、100%安全とは言い切れません。
作業員や周辺住民に健康被害が及ぶリスクがある以上、専門業者に調査を依頼し、アスベストの有無を正確に見分けることが大切です。
アスベスト建材の除去方法はレベルに応じて異なります。発じん性が高いレベル1は、養生シートで隔離し、集じん装置で負圧を維持しながら慎重に除去。レベル2は湿潤化を徹底し、作業後は飛散防止剤を散布します。
レベル3は発じん性が低いものの、破砕や投下を避け、原型のまま手作業で除去することが求められます。いずれのレベルでも適切な養生・飛散防止措置を徹底し、安全な処理を行うことが大切です。
レベル1建材の除去には、一般的に隔離工法が用いられます。アスベスト繊維が外部へ拡散しないように、作業場所を養生シートなどで完全に隔離。さらに集じん装置を設置して作業場所を負圧に保つことで、飛散したアスベストが作業エリアの外へ漏れ出るのを防ぎながら除去作業を行います。
なお、改修工事などで除去が難しい場合は、薬液で塗膜を形成する封じ込め工法や板状の材料で密閉する囲い込み工法といった方法も選択肢となります。
レベル2建材の掻き落とし・切断・破砕を行う場合は、レベル1の隔離工法と同様の養生・設備が必要です。作業場所を養生シートで隔離。集じん装置を設置して負圧環境を維持することで、アスベストの飛散を防ぎます。
掻き落としや破砕を伴わない配管保温材などの除去は、立入禁止措置や掲示を行い、作業区域の飛散養生と散水のみで対応可能です。この場合、隔離工法を必要とせず、比較的簡易な方法で作業を進めることができます。
レベル3建材の除去作業を行う際には、建築物の高さ以上の防じんシート養生を設置し、散水によって建材を湿潤化させることが重要です。ケイ酸カルシウム板など、飛散しやすい建材の除去作業は原型を保ったまま手作業(手ばらし)で行い、アスベストの破砕や飛散を防ぎます。
なお、投下や重機を用いた作業は破砕の危険性があるため、原則として禁止。飛散リスクが低いとはいえ、適切な養生・湿潤化・手作業による除去を徹底し、安全な作業を心がけましょう。
石綿障害予防規則に基づき、塗材を含む壁面を穿孔(足場の壁つなぎ設置など)する作業では、石綿の飛散を防ぐため湿潤化措置が義務化されています。
特に、仕上塗材や下地調整材は水を吸いにくいため、散水しながらの作業など、除去中も湿潤な状態を保つことが重要です。ただし、湿潤化に使用した水にはアスベストが含まれる可能性があるため、適切に回収・処理する必要があることも留意しておきましょう。
アスベストを含む建材は内装、外装問わず、様々な建築物の壁で使用されています。その大半は、アスベスト繊維が空気中に飛散しにくいレベル3建材なので比較的安全ですが、見分けにくい状態で使用されていることも多く、専門業者による早期発見と確かな分析が必要です。
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