アスベストを含有した外壁とは?種類・見分け方・対処方法を解説

「自分の家にアスベストを含有した外壁があるかもしれない」「健康に影響はないのだろうか」と心配されている方がいるかもしれません。場合によっては、調査や対策が必要になることがあります。
この記事では、アスベストを含有した外壁の特徴や種類、危険性、見分け方などについて解説します。正しい知識を身につけておくことで、適切な対処ができます。
【本記事の要約】
・アスベストを含有した外壁建材が使われていても、通常の状態では飛散する可能性は低い
・外壁のリフォーム・高圧洗浄・経年劣化の場合には、事前調査や飛散防止対策が必要
・アスベストを含有した外壁建材を見分けるには、専門業者への依頼が確実
アスベストを含有した外壁の特徴とは?なぜ使われてきたのか

アスベストを含有した外壁は、以下のような特徴を持っています。
・耐火性が高い:アスベストは500〜800 ℃の高温でも燃えないという、高い耐火性のある建材です。
・断熱性に優れている:アスベストの繊維は非常に細かく、多くの空気層を多く含むために熱が遮断され、熱伝導率が低い特徴があります。
・防音性が高い:アスベストは、細かい繊維構造が音を吸収するため、吸音材としても使用されてきました。特に、学校や商業ビルにおける騒音対策の1つとして広く用いられました。
・安価である:アスベストは天然鉱石から大量に採取でき、成形も容易であるため、安価に供給されてきました。
建材として優れた特徴を持ち、同時に安価であったため、広く使われてきたのです。
アスベストを含有した外壁建材の危険性

飛散したアスベストを長期間吸い込むと、健康被害を起こす可能性があります。では、アスベストを含有した外壁のある家に住むことは、どれくらい危険なことなのでしょうか。
アスベストを含有した外壁建材は、発じん性(アスベスト繊維がどれだけ容易に空気中に飛散するか)が比較的低いとされる「レベル3」に該当します。
外壁にアスベストが使用されていたとしても、通常の状態では、アスベストが飛散する可能性は低いと言えます。
ただし、解体工事を行う場合には飛散し、健康被害をもたらす可能性があることに注意が必要です。
アスベストを含有した外壁建材の種類

アスベストを含有した外壁建材には、以下のようなものがあります。
・窯業系サイディング
・押出成形セメント板
・フレキシブルボード・石綿セメント板
・スレート波板
・けい酸カルシウム板第1種
これらの建材は2004年まで製造されていました。アスベストを含有した外壁建材の種類を理解しておくと、建材を見分ける際に役立ちます。
アスベストを含有した外壁のある家に住んでいた場合の対処

アスベストを含有した外壁のある家に住んでいた場合、すぐに除去しなくても通常は問題がありません。ただし、調査や対策が必要な場合は、以下の通りです。
外壁のリフォームをする
外壁のリフォームをする場合は、対処が必要かどうかは工事内容によります。張り替えを行う場合などには、事前調査と飛散防止対策が必要です。
外壁のアスベスト含有建材を切断したり、穴を開けたりする際に、アスベストが飛散する可能性があるためです。
外壁を高圧洗浄した
外壁を塗装する前に、汚れを落とすために高圧洗浄をすることがあります。アスベストを含有した外壁の場合、アスベストが流れ落ちてしまう可能性があるため、事前調査が必要です。
ただし、高圧洗浄をせず、外壁塗装の上塗りだけを行うのであれば、事前調査の必要はありません。
外壁が経年劣化してきた
外壁にアスベストが使用されていても、セメントなどで固められているため、通常の状態では、アスベストが飛散する可能性は低いと言えます。
ただし、外壁が経年劣化してくると、亀裂などが生じてアスベストが露出し、飛散してしまう可能性があります。そのため、外壁が経年劣化してきた場合には、飛散防止対策が必要です。
アスベストを含有した外壁建材の見分け方

アスベストを含有した外壁建材は、外から見ただけでは、容易に区別できません。見分け方は以下の3つです。
・建築時期で判断する
・設計図書を確認する
・専門業者に依頼する
それぞれについて解説します。
①建築時期で判断する
アスベストを含有した外壁建材が使われているかどうかは、建物の建築時期で一定の判断が可能です。
アスベストがもっとも使用されていたのは1970年代であり、その後、以下のように使用規制がなされるようになってきました。
▼使用規制の変遷
1975年:アスベスト含有率が5%を超える場合の吹き付け作業が禁止
1995年:1%を超える場合の吹き付け作業が禁止
2004年:代替が困難なものを除くすべてのアスベスト製品の使用が禁止
2006年:一般的な戸建住宅でのアスベスト使用が全面禁止
そのため、建築時期が2006年以前の建物には、アスベストを含有した外壁建材が使われている可能性があります。
②設計図書を確認する
設計図や仕様書などの設計図書を確認することで、アスベストを含有した外壁建材が使われているかどうかを判断できる場合があります。
設計図書などではわからない場合には、不動産会社などを介して、施工業者に問い合わせる方法もありますが、アスベストが入っている塗材を使っているかどうかまで、古い詳細情報が手に入らない事の方が多いです。
③専門業者に依頼する
建築時期や設計図書により、アスベスト使用の有無が確認できなかった場合には、専門業者に依頼することをおすすめします。
専門業者は、設計図書の確認や、現地での目視調査によってもわからなかった場合には、建材の分析調査を行って、アスベスト含有の有無を明確に判断します。
実績があり信頼できる専門業者を選ぶことが重要です。
アスベストを含有した外壁を見分けて適切に対処しよう
アスベストを含有した外壁を確実に見分けて、健康被害が起こらないように、適切に対処することが重要です。そのためには専門業者に依頼することをおすすめします。
アスベスト調査・分析には、専門的な知識が必要であるため、実績のある、信頼できる業者に依頼しましょう。
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1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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