アスベスト含有カラーベストとは?コロニアルとの違いや種類、見分け方を徹底解説

スレート瓦

「カラーベスト」は、ケイミュー株式会社が展開するスレート屋根材の名称です。軽量で扱いやすいといった優れた性能から、多くの新築住宅に採用された建材として知られています。

しかし、過去には石綿(アスベスト)を含有して製造されていました(※)。このようなアスベスト建材を使った建造物は、「石綿障害予防規則」や「大気汚染防止法」といった法令で厳格に管理されています。

本記事では、アスベスト含有のカラーベストについて、コロニアルとの違いや種類もあわせて解説します。

【本記事の要約】
・カラーベストの中にはアスベスト含有製品が存在
・外観だけではアスベスト含有の判別ができず、専門業者による分析・事前調査が必須
・アスベスト含有屋根材のリフォームは、張り替えやカバー工法で対応可能

【そもそも】カラーベストとは?特徴やコロニアルとの違い

平瓦を用いた新しい屋根

「カラーベスト」はケイミュー株式会社が展開している屋根材シリーズであり、薄型・軽量・施工性に配慮した設計が特徴です。おもに新築住宅を中心に採用されており、リフォームにおいても下地や荷重条件を満たせば取り回しやすい材料に位置づけられます。

このケイミュー株式会社は、株式会社クボタと松下電工株式会社(現・パナソニック)の外装建材事業を統合して発足した会社です。カラーベストのような屋根材だけでなく、外装材にも強みがある会社として知られています。

ここでは、カラーベストについて、特徴やコロニアルとの違いも解説します。

カラーベストは、軽量で扱いやすい特徴がある

カラーベストは薄型のスレート屋根の建材であり、軽量で扱いやすい特徴を有しています。陶器瓦の半分ほどの重さであり、建造物への負担が多くありません。そのため、耐震性の向上にも寄与しており、カラーベストを採用する大きな魅力となっています。

また、色や柄のバリエーションも豊富であり、建造物のデザインにあわせられるのも人気の理由です。

コロニアルはカラーベストの1つの種類のこと

コロニアルは、カラーベストシリーズに含まれる代表的な製品名です。つまり、カラーベストが総称、コロニアルがその一製品という関係です。代表的な製品には以下のようなものが販売されています。

  • コロニアル遮熱グラッサ
  • コロニアルグラッサ
  • コロニアルグラッサ・シャッフル
  • コロニアルクァッド

デザインや性能によって選べるようになっており、新築住宅を検討している方にとって需要が高い製品となっています。

【重要】アスベスト含有のカラーベストの種類とは?

虫眼鏡越しに見た、古く非常に危険なアスベスト屋根

アスベストは2006年以前は、耐火性や防火性、耐熱性などの優れた性能を有していたことから、あらゆる建材に含まれていました。しかし、人体への悪影響があることが確認され、2006年以降で規制されることになりました。

カラーベストもほかの建材と同様に、過去に石綿(アスベスト)を含有して製造されたものが存在します。アスベスト含有のカラーベストを使用していた場合に、劣化や工事によってアスベストのばく露リスクがあるため注意が必要です。

規制対象となるカラーベスト(屋根材)は以下のとおりです。

名称製造期間石綿含有率
(目安)
コロニアルS36〜6110~25%
カラーベスト・スレートS48~5120~25%
ウエスタンシェークS48~5120~25%
ニューコロニアルS54~H1310~15%
かわら27S50~6315~20%
F-800S50~5210~25%
ランバートS63~H610~15%
ニューランバートH7~1310~15%
ミュータスS63~H610~15%
ニューミュータスH7~1310~15%
セイバリーH8~1310%
スペリアルH8~1310%
アスコットH6~1310~15%
グリシェイドH8~1310~15%
ザルフH9~13.110.1~1%

アスベスト含有のカラーベストは見分けられる?事前調査の詳細も

アスベスト含有のカラーベストは、外観だけで含有の有無を判断することは困難です。専門業者による「事前調査」で判断するケースが一般的です。

事前調査は法令によって義務化されており、工事規模によっては電子システムでの結果報告が求められます。

ただ、設計図書や建築年数が確認できれば、アスベスト含有のカラーベストが使われた可能性を判断することも可能です。

ここでは、アスベスト含有のカラーベストの見分け方について、解説します。

アスベスト含有のカラーベストを扱う工事では、事前調査がマスト!

石綿障害予防規則や大気汚染防止法といった法令では、アスベスト含有のカラーベストを扱う建造物の工事の事前調査は必須と定められています。また、一定規模以上の工事については、電子システムへの結果報告も必要です。

事前調査や結果報告を怠った場合には、行政処分が科せられるおそれがあるため注意が必要です。

①設計図書で確認する

設計図書は建造物の設計図や工法だけでなく、建築に使われた建材を確認できます。この設計図書を用いれば、カラーベストの製品名を確認できるため、アスベスト含有かどうかを「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で調べられます。

②建築年数で確認する

アスベスト建材は、2006年9月以降は国内で製造されていません。そのため、建築年数がわかれば、アスベスト含有のカラーベストが使われた可能性があるかをおおよそで判断可能です。

アスベスト含有のカラーベストが使われた場合のリフォーム方法は?

カラーベストの耐用年数は10〜35年が一般的です。ただ、アスベストの劣化状況によって、早急にリフォームをおこなわないとならない可能性があります。

このような際の選択肢として、張り替え、カバーの方法があります。

ここでは、アスベスト含有のカラーベストが使われた場合のリフォーム方法について2点解説します。

①張り替え

張り替えは既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材へ張り替える方法です。根本的なリフォーム工事となるため、アスベストへの対策としての確実性が高い反面、専門業者による工事が必要で工期と費用がかかります。

②カバー工法

カバー工法は既存の屋根材を残し、新しい屋根材を上から被せる方法です。既存屋根の撤去をおこなわないため、工期や費用が抑えられます。

アスベストの劣化によるばく露リスクを抑えつつ、屋根の強度や防水性などの性能を高められます。

アスベスト含有のカラーベストにまつわる工事は専門業者に相談を

本記事では、アスベスト含有のカラーアスベストについて、コロニアルとの違いや種類もあわせて解説しました。

カラーベストはスレート屋根材として、今なお人気のあるシリーズです。ただ、過去に建築された建造物のなかには、アスベスト含有のカラーベストが使われている可能性があるため注意が必要です。

もし、アスベスト建材が使われた可能性がある建造物の工事に立ち会った際には、専門業者へ相談するようにしましょう。

アスベスト建材が使われた建造物の工事には、石綿障害予防規則や大気汚染防止法といった法令によって、厳格な措置が求められます。措置を誤ったり、怠ったりした場合には、行政処分を科せられるリスクがあります。

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監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

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