煙突に残るカポスタック(煙突用アスベスト断熱材)の基礎から除去工法まで解説

煙突の解体・改修において、内部断熱材「カポスタック」等の有無は、工法選定や飛散防止措置の前提となる重要な確認事項です。
カポスタックおよびその後継製品には、高い石綿含有率が示されているものもあり、保温材・断熱材としてレベル2建材に該当します。さらに、煙突は工事内容や構造により工作物として扱われる場合があるため、2026年1月以降は、一定の工作物に係る石綿事前調査において「工作物石綿事前調査者」の関与が求められる点にも留意が必要です。
本記事では、製品の見分け方から調査方法、代表的な除去工法まで、法令と行政マニュアルに沿って実務上のポイントを整理します。
【本記事の要約】
・1960~70年代建設の煙突は、アスベスト断熱材「カポスタック」の使用が想定される
・1992年までの一部製品では、カポスタック以外にもアスベストが使用された可能性がある
・煙突の解体・改修工事のうち、法令で定める対象工事では、「工作物石綿事前調査者」による事前調査が求められる
・レベル2建材のカポスタック除去には、作業区域の隔離・負圧・湿潤化の徹底が求められる
- 1. カポスタックとは何か?煙突に使われたアスベスト断熱材の基礎知識
- 1.1. カポスタックの基礎知識
- 1.1.1. 【アスベスト含有カポスタックの特徴】
- 1.2. カポスタックが使用されていた主な建物用途
- 1.3. 解体前でも留意すべき運用上のリスク
- 2. 煙突用アスベスト断熱材にはどんな種類がある?
- 2.1. 主要な煙突用アスベスト断熱材(製造年代・含有率の違い)
- 3. 煙突のアスベストを見分ける「図面調査」と「現場確認」のポイントは?
- 3.1. 設計図書・施工年代による一次判断
- 3.2. 現地確認時の注意点(内部確認)
- 3.3. 判定を確定させる「分析調査」の流れ
- 3.4. 煙突は「工作物」|制度対応と調査義務
- 4. 飛散性の高い「レベル2」煙突断熱材に対し、推奨される除去工法とは?
- 4.1. レベル2建材として求められる管理措置
- 4.2. 代表的な除去工法
- 4.3. 封じ込め工法の位置づけ
- 5. 見落としやすいカポスタックこそ適切な事前確認が重要
カポスタックとは何か?煙突に使われたアスベスト断熱材の基礎知識

カポスタックは1960〜70年代に製造された煙突用のアスベスト断熱材で、高温環境に耐える目的で使用されてきました。現在は製造されていませんが、煙突内部に残存している例も多く、解体・改修時には法令に基づいたアスベスト調査が義務付けられています。
カポスタックの基礎知識
- カポスタックは、1964年から1977年にかけて、日本アスベスト株式会社(現・ニチアス株式会社)によって製造・販売されていた煙突用のアスベスト断熱材
- 高温の排ガスが通過する煙突内部でも断熱性能を維持できることから、当時の工場や公共施設の煙突で広く採用
- 断熱材にアスベストを混合して圧縮し、筒状に成形された煙突用の断熱材で、煙道の内壁に沿って施工されていた
- 煙突の内側に組み込まれる構造で施工されるため、外壁や煙突外観からは存在を確認できず、内部調査を行わなければ判別が難しい
【アスベスト含有カポスタックの特徴】
含有鉱物:主に茶石綿(アモサイト)
含有率:概ね70〜80%(製品により差異あり)
区分:保温材・断熱材としてレベル2建材に該当
必要措置:隔離、負圧管理、湿潤化等の飛散防止措置が求められる
経年劣化:剥落や破損により発じんリスクが高まる場合がある
カポスタックが使用されていた主な建物用途
- 工場・プラント(ボイラー煙突)
- 学校・教育施設
- 病院・医療施設
- 公民館・体育館などの公共施設
- 銭湯・温浴施設
- 集合住宅に併設された大型ボイラー設備
解体前でも留意すべき運用上のリスク
【内部劣化による剥落】経年劣化で断熱材が煙突内部に落下・堆積する
【排煙時の粉じん放出】排気の気流により、劣化した繊維が外部へ出る可能性
【外部から確認できない構造】外観調査だけでは存在や劣化状況を把握できない
煙突用アスベスト断熱材にはどんな種類がある?

煙突にはカポスタック以外にも複数のアスベスト断熱材が使われてきました。製造年代や含有率が異なるため、製品名と年代の整理が重要です。
主要な煙突用アスベスト断熱材(製造年代・含有率の違い)
【カポスタック】
・製造期間:1964年〜1977年
・アスベスト含有率:50〜80%
・特徴:最も初期に普及した煙突用断熱材で、耐熱性を最優先した設計。経年劣化により剥落・飛散しやすく、現在残存している場合はリスクが生じる可能性があります。
【ニューカポスタック】
・製造期間:1977年〜1987年
・アスベスト含有率:50〜90%程度(資料により幅あり)
・特徴:カポスタックの後継製品で、断熱材表面に石綿スレート板を貼り付けた二層構造。高い含有率が示されており、レベル2建材として隔離等の措置が必要。
【ハイスタック(丸型)】
・製造期間:1978年〜1985年(1985年に無石綿化)
・アスベスト含有率:約6.8%
・特徴:主成分にケイ酸カルシウムを使用し、アスベスト使用量を大幅に削減。丸型の円筒構造で、比較的後期の煙突に使用されています。
【ハイスタック(角型)】
・製造期間:1978年〜1992年(1992年に無石綿化)
・アスベスト含有率:4.3〜8.4%
・特徴:角筒状の断熱材で、丸型と同様に低含有率ですが、1992年以前の製品には石綿が含まれる可能性があります。
【参考文献】環境省:「石綿含有材料の一覧|(14) 煙突用石綿断熱材」
煙突のアスベストを見分ける「図面調査」と「現場確認」のポイントは?

煙突のアスベスト調査では、施工年代や図面の確認はもちろん、外観からは見えない「煙突内部の断熱材」を直接確かめることが重要です。また、2026年1月以降、一定の工作物に係る事前調査では、「工作物石綿事前調査者」の関与が求められています。
設計図書・施工年代による一次判断
【新築時の施工年代】1964年〜1992年(あるいは2004年)の期間に該当するか。
現地確認時の注意点(内部確認)
- 1960〜1990年代施工の煙突は要注意
- 商品名・断熱材名が記載されていないケースが多い
- 年代のみでの断定は不可
判定を確定させる「分析調査」の流れ
図面や目視で「含有の疑い」がある場合は、最終的な判断のために専門機関による分析調査が必要です。
【サンプリングの実施】煙突内部の断熱材を直接、あるいは点検口等から採取します。カポスタックは多層構造になっている場合があるため、層ごとにサンプルを採ることが重要です。
【分析方法】調査機関にて、JIS A 1481に基づき、石綿の有無を確認する「定性分析」を行います。
煙突は「工作物」|制度対応と調査義務
煙突は建築物とは別に「工作物」として扱われる場合があります。2026年1月以降、一定の工作物に係る石綿事前調査では、「工作物石綿事前調査者」による調査が求められています。対象区分を確認したうえで、適切な資格者による調査を行うことが必要です。
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飛散性の高い「レベル2」煙突断熱材に対し、推奨される除去工法とは?

煙突内部の断熱材はレベル2建材に該当し、隔離・負圧・湿潤化を前提とした除去が必要です。工法選定は構造や劣化状況等を踏まえて行います。
レベル2建材として求められる管理措置
- 作業区域の隔離措置
- 負圧管理およびHEPAフィルター付き排気装置の使用
- 粉じん飛散を抑えやすく、レベル2建材に適用される
代表的な除去工法
【ウォータージェット工法】
・高圧水を用いて断熱材を湿潤状態で除去する工法
・粉じん飛散を抑えやすく、レベル2建材に適用される
【遠隔操作型超高圧水工法(Hi-jet ARC等)】
・装置を煙突上部から投入し、内部は無人で除去を行う
・高所・長尺煙突でも作業員の立入を最小限にできる
封じ込め工法の位置づけ
・継続使用が前提の場合の暫定措置
・将来的な解体時には再度レベル2対応が必要
見落としやすいカポスタックこそ適切な事前確認が重要
カポスタックは煙突内部に組み込まれる構造上、外観や施工年代のみでは判断が難しい建材です。レベル2建材に該当するため、解体や改修時には適切な飛散防止措置を前提とした計画が求められます。
安全な煙突工事を行うためには、設計図書や施工履歴の確認に加え、必要に応じた分析調査により含有の有無を確定することが重要です。その上で、隔離・負圧・湿潤化等の管理措置を講じ、構造や劣化状況に応じた工法を選定することが適切な対応につながります。
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【参考文献】
国土交通省:「石綿含有建材データベース」
国土交通省:「石綿(アスベスト)含有建材の特徴」
環境省:「石綿含有建築材料の使用実態」
環境省:「石綿含有材料の一覧」
環境省:「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」
和歌山市:「煙突石綿断熱材の適切な取扱いについて」
厚生労働省:「煙突内部に使用される石綿含有断熱材に係る留意事項について」
株式会社エコ24:「煙突用石綿含有断熱材対策」

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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