風呂場(ユニットバスなど)解体・改修におけるアスベスト調査の実務ポイント

風呂場の解体・改修工事では、ユニットバスなど本体の仕様だけでなく、壁材の裏側や下地、接着剤、配管周辺といった構造全体を前提にアスベスト(石綿)含有の有無を判断する必要があります。
風呂場は高温多湿で特殊な環境にあるため、過去には耐久性や断熱性を重視した建材が使用されてきました。解体時に初めてアスベスト含有建材が露出・飛散するケースもあり、工事の安全性と法令順守を確保するためには、事前調査の精度が重要です。
本記事では、風呂場(ユニットバスなど)に関わるアスベスト調査の考え方から、見落としやすい部位、実務で押さえるべき確認ポイントまでを整理します。解体・改修工事を進めるうえでの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
【本記事の要約】
・風呂場(ユニットバスなど)の壁裏や下地など周辺部材にアスベストが含まれている可能性がある
・メーカー資料や施工年代の確認に加え、有資格者による調査・分析を組み合わせて判断することが重要
・解体・改修時は事前調査の電子報告や飛散防止措置、適正処理が法令で義務付けられている
- 1. なぜ風呂場(ユニットバスなど)にアスベストが使用されているのか?
- 1.1. そもそもユニットバスとは?
- 1.2. アスベストが持つ風呂場に適した特性
- 1.3. 風呂場の建材として重宝された具体的な理由
- 2. 風呂場(ユニットバスなど)のどこにアスベストが含まれているのか?
- 2.1. 含有の可能性がある壁材・天井材(石綿含有成形板)
- 2.2. 見落としやすい接着剤・下地材・パテ
- 2.3. 配管周りの保温材とパッキン
- 3. アスベスト含有の見分け方と特定方法は?
- 3.1. メーカー公表資料による照合
- 3.2. 施工年代による判別
- 3.3. 目視調査と設計図書の確認
- 3.4. 専門機関による分析調査
- 4. 解体・改修時に守るべき法規制と安全対策は?
- 4.1. 事前調査と電子報告の義務
- 4.2. 現場での飛散防止措置
- 4.3. 廃棄物の適正処理と記録
- 5. 風呂場(ユニットバスなど)のアスベスト調査は「本体」ではなく「周辺」で判断する
なぜ風呂場(ユニットバスなど)にアスベストが使用されているのか?

アスベストは耐熱・断熱・耐水性に極めて優れ、多湿で温度変化の激しい浴室環境に適した補強材として、1960年代から部材の耐久性を高める目的で広く重宝されてきました。
そもそもユニットバスとは?
- 工場で成形された「床・壁・天井・浴槽」などのパーツを、現場で組み立てる「システムバス」の通称。
- 防水性の高いFRP(繊維強化プラスチック)や鋼板、過去製造された一部製品にはアスベスト含有建材を含むパネル等が一体化。
- 従来のタイル貼り(在来工法)に比べ、工期短縮と防水性能の向上が可能。
アスベストが持つ風呂場に適した特性
耐火・耐熱性:燃えにくく、高温下でも変質しない。
耐久・耐薬品性:腐食しにくく、酸やアルカリにも強い。
加工性:繊維状のため他の物質と混ぜやすく、補強材として優秀。
経済性:産出量が多く、安価に調達可能であった。
風呂場の建材として重宝された具体的な理由
結露・カビ対策:高い断熱性により壁面の結露を抑制。
構造の安定:水分を含んでも膨張・収縮しにくく、タイルの剥離を防ぐ。
防音・吸音:水の流れる音を軽減する効果。
風呂場(ユニットバスなど)のどこにアスベストが含まれているのか?

壁や天井の成形板だけでなく、接着剤、下地材、パテ、配管の保温材など、表面からは確認できない部位に使用されている可能性があります。解体・改修時に初めて露出・飛散するリスクもあるため、見える部分だけで判断せず、構造全体を前提に含有箇所を把握することが重要です。
含有の可能性がある壁材・天井材(石綿含有成形板)
- ケイ酸カルシウム板(第1種):浴室の壁や天井の裏打ち材として多用。
- 石綿スレート板:ユニットバスのパネルそのものの芯材。
- フレキシブルボード:強度が必要な部位に使用される薄く硬い板材。
見落としやすい接着剤・下地材・パテ
- タイル接着剤:在来工法からの改修現場で、既存タイルを剥がす際に飛散。
- 石綿含有パテ:パネルの継ぎ目やビス頭を埋めるために使用。
- 石膏ボード:岩綿吸音板やパネルの下地に、古い石綿含有石膏ボードが残存しているケース。
配管周りの保温材とパッキン
- 給排水管の保温材:結露防止のために配管に巻き付けられた石綿材。
- ガスケット・パッキン:配管接続部の気密性を保つための部材。
アスベスト含有の見分け方と特定方法は?

築年数やメーカー・品番を特定し、公式資料と照合することが基本となります。ただし資料だけで判別できない場合も多く、その際は有資格者による目視調査やサンプリング分析が不可欠です。複数の確認手段を組み合わせて判断することが求められます。
メーカー公表資料による照合
ユニットバスなどに使用されている建材については、多くの住宅設備メーカーが、過去に製造・販売したアスベスト含有製品の一覧を公式に公表しています。設計図書などから品番やメーカー名を特定し、これらの公表資料と照合することが有効です。
【公表例】
- TOTO:「TOTO製品における石綿(アスベスト)の使用状況について」
- ノーリツ:「ノーリツ製品におけるアスベスト(石綿)の使用状況について」
- INAX:「アスベスト(石綿)を含む部材の過去における使用状況一覧表」
- パナソニック ハウジングソリューションズ:「石綿(アスベスト)に関する当社の状況」
施工年代による判別
- 法令により、2006年9月以降は石綿含有建材の製造・使用が原則禁止されている。
- 住宅設備メーカーの公表資料でも、2006年以降に製造されたユニットバス製品での使用例は確認されていない。
上記の理由から、2006年以降に施工・設置されたユニットバスは、含有の可能性が極めて低いとされます。ただし、施工年代が不明確な場合や、部分改修・部材流用がある場合は、年代判別のみで判断しないことが重要です。
目視調査と設計図書の確認
- 設計図書の閲覧:仕上表や材料表に「石綿」の記載がないか確認。
- 現場目視:板材の切り口や裏面の質感、繊維状の露出をチェック(ただし目視のみで確定判断は不可)。
専門機関による分析調査
- サンプリング:有資格者が建材の一部を採取。
- 成分分析:JIS A 1481に基づき、偏光顕微鏡やX線回折装置などを用いて、石綿の有無および種類を特定。
解体・改修時に守るべき法規制と安全対策は?

解体面積80㎡以上といった一定規模を超える工事では事前調査の電子報告が義務です。作業時は有資格者の配置、湿潤化や手壊しといった飛散防止措置に加え、適正な廃棄物処理の徹底が求められます。
事前調査と電子報告の義務
- 報告基準:解体面積80㎡以上、または請負金額100万円(税込)以上の改修工事。
- 報告先:石綿事前調査結果報告システム(労働基準監督署・自治体)。
- 有資格者の配置:建築物石綿含有建材調査者による調査が必須。
現場での飛散防止措置
- 湿潤化の徹底:散水や湿潤剤の塗布により、粉塵の飛散を抑制。
- 手壊し解体の原則:電動工具による切断や破砕を避け、原形のまま取り外す。
- 養生と立入禁止:作業エリアを隔離し、掲示板による周知を徹底。
廃棄物の適正処理と記録
- 分別保管:「石綿含有産業廃棄物」として他のゴミと混ざらないよう二重梱包。
- マニフェスト:収集運搬・処分業者へ適切に引き渡し、記録を保管。
風呂場(ユニットバスなど)のアスベスト調査は「本体」ではなく「周辺」で判断する
風呂場の工事におけるアスベスト調査は、本体パネルの材質だけでなく、壁裏や下地、配管周辺まで含めて判断することが重要です。見落としは法令違反や工事中断につながるため、事前調査を前提とした計画的な対応が、安全性と事業者責任の両面で求められます。
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【参考文献】
国土交通省:「目で見るアスベスト建材」
経済産業省:「実態把握調査の結果(浴室)」
厚生労働省:「石綿総合情報ポータルサイト」
大塚刷毛製造株式会社:「石綿含有成形板等(レベル3)作業工法とワークフロー」

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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