アスベスト調査に必要な資格とは?関連資格や不要なケースも解説

解体現場 内装工事

建物を解体したり改修したりする際には、アスベストの有無を調査することが義務付けられています。アスベスト調査には資格が必要ですが、アスベスト関連の資格には、いくつもの種類があります。どのような作業に、どの資格が必要なのでしょうか?

この記事では、アスベスト調査に資格が必要な理由、必要な資格、関連するその他の資格について解説します。また、資格が必要とされないアスベスト関連の作業も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【本記事の要約】
・アスベスト調査には「石綿含有建材調査者」など3種類の資格が存在
・関連資格として「石綿作業主任者」など3種類の資格が存在
・一部の作業では資格が不要なケースもある

アスベスト調査に資格が必要な理由とは

石綿(アスベスト)工事の事前調査強化に関するお知らせ

アスベストは、長期間吸い込むことで、じん肺や悪性中皮腫、肺がんになる可能性が高まるとされています。

重大な健康被害につながるおそれがあるため、大気汚染防止法により、建物の解体や改修工事を行う際には、アスベストの有無を有資格者によって調査することが義務付けられています。

アスベスト調査に必要な3つの資格とは

住宅の解体工事

アスベスト調査に関して、最も基本となる資格は、石綿含有建材調査者です。また、2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録したアスベスト診断士でも調査可能です。また、工作物に関しては、2026年1月1日以降着工の工事からは、工作物石綿事前調査者による事前調査が義務付けられます。それぞれの資格の内容と、取得方法について解説します。

建築物石綿含有建材調査者

建築物などを解体、改修する際に、アスベスト使用の有無を事前に調査しなければなりません。

事前調査には資格が必要であり、厚生労働省が認定する建築物石綿含有建材調査者は、その資格の1つです。

全ての建築物の調査を行える「一般建築物石綿含有建材調査者」と、十分な経験を持った調査者が取得できる「特定建築物石綿含有建材調査者」、一戸建て住宅および共同住宅の内部に限った調査を行える「一戸建て等石綿含有建材調査者」という3つの種類があります。

建築物石綿含有建材調査者の取得方法

資格を取得するには、建築物石綿含有建材調査者講習を受講して、筆記試験に合格しなければなりません。

特定建築物石綿含有建材調査者の場合は、講義と筆記試験に加えて、実地研修と口述試験もあります。

受講資格は、石綿作業主任者技能講習を修了した者など、12のカテゴリーに分かれています。試験の難易度は一般的に高くないと言われ、合格率は60~90%程です。講習を真剣に受ければ合格するのは難しくないでしょう。

2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録したアスベスト診断士

一般社団法人JATI協会が認定するアスベスト診断士は、建築物のアスベスト使用場所、アスベスト含有製品の処理要否の判断、アスベスト含有製品等の処理工事が適正かどうかのチェックなどを行える資格です。

2023年10月1日以降は、建築物石綿含有建材調査者の事前調査が義務付けられたため、アスベスト診断士の事前調査は認められなくなりました。

ただし、 2023年9月30日以前に一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録したアスベスト診断士は、事前調査が認められています。

アスベスト診断士の取得方法

資格を取得するには、一般社団法人JATI協会が行うアスベスト診断士養成研修会を受講して、修了試験に合格することが必要です。

受講資格は、石綿作業主任者技能講習修了者など7つのカテゴリーに分かれています。基礎知識の復習をした上で受講すれば、問題なく取得できると言われています。

工作物石綿事前調査者

2026年1月1日以降、工作物の解体作業・改修作業を行う際には、厚生労働省が認定する工作物石綿事前調査者の資格が必要です。

工作物とは、建築物以外のもので、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたもののことです。

例えば、煙突、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、建築物内に設置されたボイラー、エレベーター、エスカレーター、発電設備などが該当します。

このうち、煙突などの一部の工作物は、一般・特定建築物石綿含有建材調査者や、2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録したアスベスト診断士でも事前調査が可能です。

工作物石綿事前調査者の取得方法

資格を取得するには、石綿作業主任者技能講習を受講した方、ないしは工学に関する学歴と一定の実務経験が必要となります(学歴がない場合は11年以上の実務経験が必要)。また、工作物石綿事前調査者講習を受講して、筆記試験に合格しなければなりません。

受講資格は、石綿作業主任者技能講習を修了した者など、12のカテゴリーに分かれています。試験の難易度は高くはないため、講習を真剣に受ければ合格するのは難しくないでしょう。

アスベスト調査に関連するその他の資格

石綿作業主任者技能講習 受講案内書

アスベスト調査に関連するその他の資格としては、石綿作業主任者、石綿取扱作業従事者、作業環境測定士などがあります。それぞれの資格の内容と、取得方法について解説します。

石綿作業主任者

厚生労働省が認定する石綿作業主任者は、アスベスト除去を扱う作業現場に、この資格を持った人がいなければならないとされる資格です。

アスベスト除去作業の監督、保護具などの作業環境の整備を担当します。受講資格は特になく、石綿作業主任者技能講習を受講し、修了試験に合格すると資格を取得できます。

石綿取扱作業従事者

アスベストが使われている建築物や工作物の解体作業等に携わる作業員は、取得しなければならない資格です。

石綿(アスベスト)取扱い作業従事者特別教育という講習を受講すれば資格を取得できます。

作業環境測定士

作業環境測定士は、アスベストの粉じんが発生する可能性のある作業場についての作業環境測定を行うことができる国家資格です。第一種と第二種があり、特定化学物質に係る分析は第一種資格のみが可能です。

国家試験に合格すると資格を取得できます。ただし、医師などの資格があれば国家試験免除となります。また、環境計量士などの資格があれば国家試験科目一部免除講習が受講可能です。資格取得が難しいため、多くの場合は気中アスベスト濃度測定は専門の機関に依頼する事になります。

資格が不要なアスベスト関連の作業

住宅設計のイメージ

アスベスト関連の作業には、資格が必要とされないものもあります。石綿事前調査結果の報告と、設計図書等の書面による事前調査という2つについて解説します。

石綿事前調査結果の報告

アスベスト使用の有無を調べる事前調査は、有資格者でなければ行えません。ただし、調査完了後にその結果を報告するにあたっては、資格は必要ありません。

設計図書等の書面による事前調査

2006年9月1日以降に設置された建築物には、アスベストの使用が禁止されています。そのため、建築物がこの日以降に設置されたことが、設計図書等の書面で確認できる場合には、有資格者による現場の調査は必要ありません。

アスベスト調査を行うには資格が必要

アスベスト調査に必要な資格は、石綿含有建材調査者と、2023年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録したアスベスト診断士です。また、工作物におけるアスベスト調査に必要な資格は、工作物石綿事前調査者です。

アスベスト調査・分析には、専門的な知識と資格が求められます。安全・確実に対応するためにも、実績のある信頼できる専門業者に依頼することが重要です。

アルフレッドでは、高精度な分析サービスを提供しております。さらに、土曜日を含む3営業日以内に報告書をご提供いたします。

初回利用の方は、最大10検体までの無料キャンペーンを実施中です。まずは以下のお問い合わせから、ご相談ください。

監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

 お役に立ちましたら、ぜひ関係者様にシェアをお願いします /


新着記事

コラム
解体現場 内装工事
アスベスト調査に必要な資格とは?関連資格や不要なケースも解説New!!
コラム
ピンセットで採取したクリソタイルアスベスト鉱物の繊維を写した写真
【解体・改修前に必須】アスベスト含有調査とは?調査方法と手順New!!
コラム
Man_in_a_blue_protectivesuit,_ yellow_gloves,_and_a_protective_mask_cleansasbestosfrom_ a_building
アスベストの定量分析とは?定性分析との違いや費用の目安を解説New!!