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2024.07.16
健康被害防止のための必須知識!アスベスト調査の義務化について解説!

アスベストは過去に多くの建築物で使用され、その有害性が明らかになるとともに、現在では厳しい規制がかけられています。

2006年以前の建築物の解体や改修工事において、アスベストの飛散を防ぐための対策が不可欠です。アスベストを長期にわたり吸い込み続けると、肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害が生じることが確認されており、そのためにアスベスト調査の義務化が進められてきました。

本記事では、アスベスト調査の義務化に関する最新の規制や具体的な調査方法、報告の手順について詳しく解説します。これにより、工事関係者や建物所有者が適切な対応を取れるようサポートします。

アスベスト調査の義務化の概要

アスベスト調査とは?

アスベスト調査とは、建築物に使用されている建材にアスベストが含まれているかどうかを確認するプロセスです。主に解体や改修工事を行う前に調査を行い、アスベストの飛散を防止するための重要なステップとなります。この調査には書類の確認、目視調査、そして必要に応じてサンプルを採取して分析することが必要です。

義務化の背景と目的

アスベスト調査が義務化された背景には、アスベストによる健康被害の深刻さがあります。特に、日本では過去に多くの建築物でアスベストが使用されており、解体時に飛散するリスクが高いことから、2021年4月に法律改正が行われ、調査と対策が法的に求められるようになったという経緯があります。義務化の目的は、作業者や周辺住民の健康を守ることです。

アスベストの危険性と特性

アスベストは極めて細かい繊維状の鉱物で、耐熱性や絶縁性に優れているため、広く使用されてきました。しかし、その細かな繊維が肺に入り込み、長期間にわたって蓄積されることで肺がんや中皮腫などの致命的な疾患を引き起こすことが発覚しました。

このため、アスベストの使用は2006年以降全面的に禁止されていますが、既存建築物には依然として多く残っているため、その調査と除去が重要です。

現在の規制と義務化の詳細

2021年からの新しい規制

2021年4月に改正された大気汚染防止法により、アスベスト含有建材の規制が強化されました。

これにより、解体・改修工事を行う際には事前にアスベストの調査を行い、その結果を報告することが義務付けられました。

また、規制対象となる建材の範囲も拡大され、レベル1などの特定の粉じん排出作業については詳細な記録を保存する必要があります。

さらに、2023年10月1日以降には、アスベスト事前調査は有資格者によって行うことが義務付けられました。

義務化の対象工事の範囲

アスベスト調査の電子報告の義務化は、解体工事、改修工事、そして一部の補修工事に適用されます。具体的には、床面積が80平方メートル以上の解体工事や、請負金額が100万円を超える改修工事が対象です。

アスベスト事前調査と報告の詳細

有資格者による事前調査

2023年10月1日以降、アスベスト事前調査は有資格者によって行うことが義務付けられました。資格者には「建築物石綿含有建材調査者」などの専門資格が求められ、これにより調査の信頼性が一定程度は保証されています。

資格取得には特定の講習や試験が必要で、建築に関する一定の実務経験も求められます。

調査の手順と内容

アスベスト事前調査には、書類調査、目視調査、そして必要に応じてサンプル採取と分析のステップがあります。まず、建物の設計図や過去の改修履歴を確認し、アスベストが使用されている可能性のある箇所を特定します。

次に、現地での目視調査を行い、アスベスト含有建材の有無を確認します。最後に、アスベストが含まれている疑いのある建材をサンプルとして採取し、専門の分析機関で検査を行います。

調査報告書の作成と提出方法

調査結果は報告書としてまとめられ、調査の手順、使用された分析方法、そして検出されたアスベストの種類などが詳しく記述されています。

提出はオンラインシステムを通じて行われ、これにより、速やかにかつ確実な報告が可能となります。提出期限は厳しく定められており、これを遵守することが求められています。

電子申請システムの利用方法

アスベスト事前調査の結果は、石綿事前調査結果報告システムを使用して電子的に申請します。このシステムは、24時間オンラインでの申請が可能で、労働基準監督署および地方公共団体への同時報告ができます。

電子申請により、報告の効率化と正確性が向上しました。また、申請者はGビズアカウントを取得する必要があり、これにより申請者の認証とデータの保護が確保されます。

アスベストの分析と見分け方

アスベストの分析方法

アスベストの分析は、JIS1481にまとめられております。弊社では、このうち最も精度が高いとされる偏光顕微鏡分析法(JIS1481-1)で分析を行っており、採取されたサンプルを偏光顕微鏡で観察し、アスベストの繊維を判定します。

まとめ

アスベスト調査の義務化は、解体作業等をおこなう方の健康被害を防ぐための重要なステップです。法改正により、アスベスト調査が管理され、調査結果の報告が義務付けられました。これにより、解体や改修工事に伴うアスベストの飛散リスクを低減し、作業者や周辺住民の健康を守ることが期待されています。

現在の規制では、すべての建築物に対して適切なアスベスト調査が求められ、工事では専門の有資格者による詳細な調査が必要です。調査結果は速やかにかつ正確に報告することが求められ、電子申請システムを活用して効率的に行われます。

今後、さらに厳しい規制が予想されるため、常に最新の情報を収集し、適切な対応を行うことが重要です。