アスベスト調査の費用相場は?調査種類・工事規模別の目安と補助金制度を徹底解説

アスベスト(石綿)を含む可能性がある建材を使用した建造物の解体やリフォームなどの工事を実施する場合、工事前にアスベストの事前調査が義務付けられています。その内容は石綿障害予防規則や大気汚染防止法といった法令で定められており、調査を実施しない場合には違反となってしまいます。

ただし、調査は種類や工事規模に応じて費用が発生する点に注意が必要です。あらかじめ、どのような調査を実施し、どのくらいの費用がかかるのかをおさえておきましょう。

本記事では、アスベスト調査の費用について、調査種類や工事規模ごとの相場、補助金制度もあわせて解説します。

【本記事の要約】
・アスベストの事前調査は法令で義務化されている
・アスベストの事前調査は一般住宅であれば「5〜50万円」の費用が必要
・アスベストの調査・除去工事で利用できる補助金制度がある

【前提】アスベストの事前調査は義務化されている

住宅の外壁をアスベスト調査するビジネスマンと作業員

2021年4月の石綿障害予防規則の改正によって、建造物の解体やリフォームなどの工事におけるアスベストの事前調査が義務化されています。さらに、2022年4月には一定規模以上の工事において、調査結果の報告も義務化されました。

このようにアスベストにまつわる規制は、年々厳格化しています。事前調査も同様で、対象工事の範囲や調査者の資格、実施手順を正しく把握しておかなければ、行政処分の対象になりかねません。

詳細については本メディアの別記事でまとめているため、本記事とあわせてご確認ください。

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アスベストの事前調査の費用相場とは?

アスベストの事前調査は、対象となる規模や範囲、実施する調査内容やオプションなどによって大きく異なります。また、そもそもどのような調査を実施すべきかについてはケースバイケースとなってしまうため、専門的な知識がなければ判断できません。

このような点からある程度の費用相場を把握しておくことは重要ですが、独断で判断せずに、必ず専門業者に相談したうえで調査を実施することが大切です。

ここでは、アスベストの事前調査について、「調査〜報告書作成」と「一般住宅」の目安を解説します。

なお、以下の表は実施する調査内容ごとの相場をまとめているため、参考にしてください。

費用項目小規模中規模大規模
書面調査約2〜5万円約5〜10万円約10〜数十万円
目視調査約2〜5万円約5〜10万円約10〜数十万円
検体採取約1〜2万円約3〜5万円約5〜15万円(※)
分析調査約3〜10万円約15〜50万円約50〜100万円以上
報告書作成約3〜5万円約5〜10万円約10〜20万円
追加調査約2〜5万円約5〜15万円約10〜50万円

(※)検体採取は検体数や現場の所在地によって変動し、サンプリング箇所が増えるほど費用も増加

調査〜報告書作成であれば「5〜15万円」

事前調査は調査だけでなく、報告書作成までをセットで依頼するケースが一般的です。その場合の費用相場はおおよそ「5〜15万円」です。

ただ、上記の相場はあくまでも最小限の内容で見積もった場合です。工事規模が大規模であったり、複数の調査を実施したりした場合には、より多くの費用が必要な点には注意が必要です。

加えて、依頼する業者によっても費用は大きく異なります。このような点から、事前調査を依頼する前に複数社で見積りを出し、比較するのが大切といえるでしょう。

一般住宅であれば「5〜50万円」も

一般住宅の解体やリフォームなどの工事を実施する場合、事前調査の費用は「5〜50万円」が相場です。基本的に一般住宅の調査は、以下の流れで実施されます。

  1. 書面調査
  2. 目視調査
  3. 検体採取
  4. 分析調査
  5. 報告書作成

複数の調査をおこなうことから、費用もその分だけ膨らんでしまいます。また、調査する検体数が増えたり、分析方法をより詳細にしたり、といった場合には上記の相場よりも高くなる可能性はおさえておきましょう。

予想以上の費用にならないためにも、専門業者への相談時に工事にあたっての予算を伝えておくことが大切です。

【重要】アスベストの調査・除去工事は補助金の対象に!

アスベストの事前調査にはある程度の費用がかかってしまいますが、国や地方公共団体では補助金制度を設けています。この補助金制度を活用できれば費用負担を抑えることが可能です。

また、地方公共団体のなかにはアスベスト建材の除去や封じ込め、囲い込みの工事を補助金の対象としているものもあります。調査の補助金制度とあわせて活用できれば、より負担を抑えられるでしょう。

ここでは、アスベストの調査・除去工事における補助金制度の概要について解説します。

アスベスト調査の補助金内容

国土交通省では、アスベスト調査を対象とした補助金制度を設けています。

具体的には吹付けアスベストやアスベスト含有の吹付けロックウールを使用した建造物に対する工事を対象とし、補助額は最大で25万円です。

ただし、この補助金制度は地方公共団体によって実施状況が異なるため、事前にお住まいの自治体へ確認しておきましょう。

補助対象吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール
対象建造物吹付けアスベストなどが施工された可能性がある住宅・建造物
補助内容吹付け建材のアスベスト含有を調査するための費用
補助額(限度額)原則25万円/棟

アスベスト除去工事の補助金内容

国土交通省はアスベストの除去や封じ込め、囲い込みに対しても補助金制度を設けています。

具体的には、吹付けアスベストやアスベスト含有の吹付けロックウールを使用した建造物に対するものを対象としています。補助される金額は、地方公共団体ごとに異なっているため、お住まいの地方公共団体への確認が必須です。

こちらも調査の補助金制度と同様にすべての地方公共団体で実施されているわけではありません。必ずお住まいの地方公共団体の窓口へ確認しておきましょう。

補助対象吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール
対象建造物吹付けアスベストなどが施工された可能性がある住宅・建造物
補助内容対象建造物の所有者などが実施する除去、封じ込め、囲い込み
補助額(限度額)地方公共団体の補助額1/2以内
(かつ全体の1/3以内)

アスベストの調査の前に、費用や補助金は確認しておこう!

本記事では、アスベスト調査の費用について、調査種類や工事規模ごとの相場、補助金制度もあわせて解説しました。

アスベストの事前調査は、調査〜報告書作成で5〜15万円ほどの費用がかかってしまいます。また、工事規模が大きくなれば、それだけ多くの費用を負担しなければなりません。

一方で、国や地方公共団体ではアスベスト調査に対する補助金制度を設けており、活用すれば費用負担を大幅に抑えられます。加えて、アスベストの除去や封じ込め、囲い込みの工事にも適用される補助金制度もあるため、積極的に活用していくのが良いでしょう。

このようなチャンスを逃さないためにも、アスベストの調査前に必ず専門業者に相談してください。

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監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

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