壁紙にもアスベストが使われている?商品名一覧や健康被害を徹底解説

アスベスト(石綿)は耐熱性や防火性に優れた建材として、1970年代後半〜1990年代までにかけて多くの建造物に使われていました。しかし、アスベストの繊維を長期間吸引してしまうと肺がんや悪性中皮腫などの健康被害を引き起こすことが判明し、2006年以降全面禁止となりました。
ただ、規制以前に建築された建造物において、アスベスト建材が使われたものが残っています。壁紙も同様に、アスベストを含んだ建材が使われているケースが高く、壁紙の張り替えには規制にしたがった措置が求められるため、慎重に対応しなければなりません。
本記事では、壁紙にもアスベストが使われているのかについて、対象となる商品名や健康被害をあわせて解説します。
【本記事の要約】
・1990年代以前の壁紙にはアスベスト含有品が存在する
・見分けは困難であり、専門家による調査・分析が確実かつ安全である
・長期間の吸引により、悪性中皮腫やアスベスト肺、肺がんなどの健康被害を引き起こすリスクが高まる
【重要】古い建造物の壁紙には、アスベストが使われていた可能性がある!

アスベスト(石綿)は耐熱性や防火性などに優れているため、1970年代後半〜1990年代までにかけて数多くの建造物の建材として利用されていました。
これは壁紙も同様であり、アスベストを含んだ壁紙の商品は多くの種類が存在します。製造自体は1990年以降ではおこなわれていないものの、それ以前に建築された建造物には使用されている可能性が否定できません。
現在は、「石綿障害予防規則」や「大気汚染防止法」などの法令で、アスベストの使用・処理は厳しく規制されています。壁紙の張り替えも同様であり、古い建造物のリフォームをおこないたい場合には、専門家による調査・分析のうえ、然るべき措置が必要です。
【一覧表】壁紙に使われたアスベスト建材の商品名や種類とは?

アスベスト建材は、国土交通省と経済産業省が共同で提供している「石綿含有建材データベース」で確認できます。このデータベースによると、アスベスト含有の壁紙は30品目以上登録されています。
このデータベースは無料で公開されており、設計図書などの資料と照合することで、使用されている建材にアスベストが含まれているかを確認できます。
商品名 | 製造時のメーカー | 製造期間(年) |
アキレスアートレーザー | アキレス(株) | 1982~1986 |
エースウッド | アクメ加工(株) | 1970~1989 |
エースウッドA | 1981~ | |
サンクロスA | アサヒ合成工業(株) | 1981~ |
ウォルボエース | カメイ壁材工業(株) | 1981~ |
無機質壁紙 | (株)カワキチ | 1970~1989 |
ホタカAS | 関東レザー(株) | 1971~1987 |
無機質壁紙 | 光建産業(株) | 1970~1988 |
サクラテックス | サクラポリマー(株) | 1981~1985 |
サクラテックスSW | 1981~1985 | |
無機質壁紙 | (株)サンゲツ | 1972~1987 |
無機質壁紙 | シンコールウォール(株) | 1973~1987 |
シャトラン | ダイニック(株) | 1970~1980 |
タペタンV | 1983~1991 | |
ブレスタイン | 1970~1980 | |
メゾニック | 1970~1983 | |
メゾニックG | 1970~1980 | |
メゾニックT | 1970~1980 | |
アスノーバン | 高倉インテリア工業(株) | 1981~ |
グラスメーク | 1981~ | |
タポンA | 竹野(株) | 1981~1986 |
アストン | 東洋クロス(株) | 1980~1985 |
ブルテックス | トキワ工業(株) | 1969~1988 |
リブインA | 凸版印刷(株) | 1981~ |
パーフェクトG | ニッセン工業(株) | 1981~ |
MORE ’83~’85(モア) | (株)ニップコーポレーション | 1983~1985 |
FGウォール | 富双合成(株) | 1982~1985 |
サンフット | 北三(株) | 1970~1989 |
無機質壁紙 | (株)マツヨシ | 1970~1987 |
ビノシート | ヤマト化学工業(株) | 1981~1986 |
無機質壁紙 | 山梨化成工業(株) | 1974~1987 |
ロンカラースーパー(※) | ロンシール工業(株) | 1973~1987 |
(※)同名で種類あり(製造年はまとめたもの)
出典:石綿(アスベスト)含有建材データベース「検索結果商品名一覧」
アスベストが使われた壁紙の見分け方とは?

アスベストが使われているかの確認は、設計図書や建築年数である程度はおこなえます。
ただ、基本的には、専門家による事前調査でおこなうべきです。もし、自身や知見のない友人・知人がアスベストの調査・分析をおこなってしまった場合、アスベストのばく露リスクが高まってしまうためです。
不用意な調査や工事はアスベスト粉じんを拡散させ、重大な健康被害を招く恐れがあります。必ず専門業者へ依頼しましょう。
ここでは、アスベストが使われた壁紙の見分け方について、解説します。
【重要】詳細な確認は、専門家による事前調査で!
アスベスト建材はその繊維を長期間吸引してしまうことで、悪性中皮腫やアスベスト肺といった健康被害をもたらす危険性があります。
そのため、自身の住宅でアスベスト建材が使われているかの詳細な確認は、専門家による事前調査を前提として考えましょう。
なお、2022年4月に石綿障害予防規則の改正がおこなわれており、アスベスト調査の結果報告が義務化されています。工事の内容によっては電子報告の対象となるため、あらかじめ対象となる工事の種類や規模は知っておきましょう。
①設計図書
設計図書とは設計図と仕様書をまとめたものであり、建造物に使われている建材を確認できる書類です。この書類と石綿含有建材データベースを併用すれば、アスベスト建材が使われているかを確認できる場合があります。
②建築年数
石綿含有建材データベースによれば、1990年代以降でアスベストを含んだ壁紙の製造はされていないことが確認できます。
このようなことから、アスベストを含んだ壁紙が使われているかは、確認したい建造物の建築年数で概ね判断可能です。
アスベストを吸引した際の健康被害とは?

アスベストによる健康被害は、アスベストを長期間吸引したことによって生じます。症状は悪性中皮腫やアスベスト肺、肺がんが代表的なものです。
厚生労働省の報告ではアスベスト関連疾患は発症までに長い潜伏期間があり、中皮腫は平均35年、アスベスト肺は20〜50年とされています。そのため、症状が現れる頃には病状が進行していることが多く、根本的な治療が難しいケースも少なくありません。
過去には多数の死者を出した公害事件にも発展していることから、アスベストに関しての正しい理解と対応が求められます。
関連記事:アスベスト公害による健康被害とは?過去の事例や生じるリスクを解説
古い建造物の工事は、ルールに則った対応を!

本記事では、壁紙にもアスベストが使われているのかについて、対象となる商品名や健康被害をあわせて解説しました。
アスベスト建材としての壁紙は30品目を超える種類が存在し、古い建造物であれば、使われていた可能性があります。
ただ、不用意に壁紙の張り替えや改修工事をおこなってしまうと、作業者自身の人体へ悪影響を及ぼす事態になりかねません。
アスベストを含む建造物の解体や改修工事は、石綿障害予防規則や大気汚染防止法などの法令で厳しくルールが定められています。そのため、アスベストに関しての調査や分析などは調査資格をもった専門家に任せるのが確実でしょう。
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1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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