アスベストのレベル1・2・3とは|分類・作業手順・届出を解説

アスベスト含有建材は、飛散しやすさ(発じん性)に応じてレベル1〜3に分類されます。レベルによって、除去作業時の届出・報告の要否、作業計画書の内容、保護具の選定、廃棄物の処分方法が異なるため、工事前に正確な区分を把握することが重要です。
特に、レベル1・2の建材を扱う工事では、労働基準監督署や自治体への届出が必要になる場合があります。一方、レベル3建材のみの工事でも、「発じん性が低い=対策不要」ではなく、作業計画書の作成・飛散防止措置・保護具着用・記録保存が求められます。
本記事では、レベルごとの該当建材・作業手順・届出要件・保護具について、解体・改修工事に携わる事業者の実務に即した形で体系的に解説します。
【本記事の要約】
・アスベスト含有建材はレベル1〜3に分類され、発じん性や建材の種類によって作業基準が異なる
・レベル1・2では、工事内容に応じて労働基準監督署や自治体への届出が必要になる
・レベル3でも、作業計画の作成、湿潤化、手ばらし、保護具の着用、作業記録の保存などが必要
・建材のレベルや含有の有無は、書面調査・現地での目視調査・必要に応じた分析調査によって判断する
【本記事の要約動画/音声コンテンツ】
- 1. アスベストのレベルはどのように分類されている?
- 1.1. 分類の基準となる「発じん性」
- 1.2. レベル1〜3の比較一覧表
- 2. アスベスト レベル1に該当する建材と除去方法は?
- 2.1. レベル1に該当する主な建材と使用箇所
- 2.2. レベル1の除去作業手順と飛散防止措置
- 2.2.1.1.1. 【届出について】
- 2.3. レベル1作業で必要な保護具(マスク・防護服)
- 3. アスベスト レベル2に該当する建材と除去方法は?
- 3.1. レベル2に該当する主な建材と使用箇所
- 3.2. レベル2の除去作業手順と保護具
- 3.2.1.1.1. 【届出について】
- 3.3. レベル2作業で必要な保護具
- 4. アスベスト レベル3に該当する建材と除去方法は?
- 4.1. レベル3に該当する主な建材と使用箇所
- 4.1.1. 「みなし」規定について
- 4.2. レベル3作業における届出義務と作業計画書
- 4.3. 労働基準監督署への届出が必要なケース
- 4.3.1.1.1. 【届出が不要なケースと注意点】
- 4.4. レベル3の作業手順(養生・撤去・袋詰め・写真記録)
- 4.5. レベル3作業で必要な保護具(マスク・防護服)
- 4.6. レベル3廃棄物の処分方法(袋詰め・廃棄ルート)
- 5. レベル1・2・3の除去作業は、何が違うのか?
- 5.1. レベル別の届出・保護具・養生・処分方法の比較表
- 5.1.1.1.1. 【レベルの特定方法】
- 6. アスベストのレベル分類についてよくある質問(FAQ)
- 6.1.1.1. Q1. レベル3のアスベスト工事でも届出は必要ですか?
- 6.1.1.2. Q2. 建材がどのレベルか判断できない場合はどうすればよいですか?
- 6.1.1.3. Q3. レベル3の作業にはどのようなマスクが必要ですか?
- 6.1.1.4. Q4. レベル1の建材が含まれているかどうかは、目視でわかりますか?
- 6.1.1.5. Q5. レベル3の作業写真はなぜ必要なのですか?
- 6.1.1.6. Q6. レベルの異なる建材が混在している場合はどう対応しますか?
- 7. アスベストのレベルを正しく把握し、適切な作業対策を
アスベストのレベルはどのように分類されている?

アスベスト含有建材は「発じん性(飛散しやすさ)」によって、一般的にレベル1〜3に分類されます。レベルによって除去時の作業基準・届出や報告の要否・保護具の選定が異なるため、工事前の正確な把握が必要です。
分類の基準となる「発じん性」
発じん性とは、建材が物理的な衝撃や劣化によってアスベスト繊維を空気中に飛散させやすさを示す考え方です。発じん性が高いほど、除去作業時の飛散リスクが高まり、より厳格な管理が求められます。
- 発じん性が著しく高い → レベル1
- 発じん性が高い → レベル2
- 発じん性が比較的低い → レベル3
【重要】2020年7月に石綿障害予防規則が改正・公布され、2021年4月以降、レベル3建材についても作業基準が強化されています。レベル3であっても、作業計画の作成、飛散防止措置、保護具の着用、作業記録の保存などが必要です。また、一定規模以上の解体・改修工事では、アスベスト含有の有無にかかわらず、事前調査結果の報告が必要になります。
ただし、レベル3のみの工事では、レベル1・2と同じ労働基準監督署への計画届・作業届が常に必要になるわけではありません。届出や報告の要否は、建材の種類、工事規模、自治体の条例などを確認して判断する必要があります。
レベル1〜3の比較一覧表
以下の表が、記事全体を通じた基本的な対照表です。作業前の確認にお役立てください。
| 項目 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
|---|---|---|---|
| 発じん性 | 著しく高い | 高い | 比較的低い |
| 主な建材 | 吹付けアスベスト、石綿含有ロックウール吹付材など | 保温材、耐火被覆材、断熱材など | スレート、サイディング、床タイル、けい酸カルシウム板、仕上塗材など |
| 主な手続き | 労働基準監督署への届出、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出、一定規模以上工事の事前調査結果報告 | 労働基準監督署への届出、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出、一定規模以上工事の事前調査結果報告 | 一定規模以上工事の事前調査結果報告。自治体条例により届出が必要な場合あり |
| 主な飛散防止措置 | 隔離・負圧・集じん装置・湿潤化 | 隔離・養生・湿潤化 | 養生・湿潤化・原形のまま撤去 |
| 廃棄物区分 | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) | 石綿含有産業廃棄物 |
アスベスト レベル1に該当する建材と除去方法は?

発じん性が著しく高い区分です。吹付けアスベスト等が該当し、除去作業では作業場の隔離、負圧管理、集じん・排気装置の設置、適切な呼吸用保護具の使用など、厳格な飛散防止対策が求められます。
レベル1に該当する主な建材と使用箇所
レベル1は、綿状のアスベストが建材表面に直接施工されているケースが多く、わずかな衝撃でも繊維が飛散するリスクがあります。
| 主な建材 | 主な使用箇所 |
|---|---|
| 吹付けアスベスト | 耐火建築物の梁・柱、機械室天井、エレベーター周り |
| 石綿含有ロックウール吹付材 | 耐火被覆を目的とした天井・壁、立体駐車場天井 |
| 石綿含有吹付けバーミキュライト | 吸音・断熱を目的とした天井・壁面 |
レベル1の除去作業手順と飛散防止措置
レベル1の除去は、厳格な飛散防止措置のもとで行う必要があります。以下のステップを基本に、現場条件や関係法令に応じて適切な作業計画を作成してください。
| STEP | 工程 | 主な内容・要件 |
|---|---|---|
| 1 | 作業前準備 | 事前調査、作業計画書の作成、届出・報告の要否確認、作業者への周知を行う |
| 2 | 届出・報告 | 工事内容に応じて、労働基準監督署への建設工事計画届または建築物解体等作業届、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出、一定規模以上工事の事前調査結果報告を行う |
| 3 | 隔離・養生 | 作業場をシートで隔離し、集じん・排気装置を設置して負圧を確保する。出入口には前室を設ける |
| 4 | 湿潤化 | 散水または薬液噴霧によりアスベストを湿らせ、繊維の飛散を抑制する |
| 5 | 除去作業 | 適切な保護具を着用し、飛散を抑えながら除去する。破砕・切断は必要最小限に抑える |
| 6 | 集じん・清掃 | HEPAフィルター付き真空掃除機や湿式清掃で粉じんを除去する |
| 7 | 梱包・廃棄 | 湿潤化したまま二重梱包し、「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物の処理基準に従い処分する |
【届出について】
レベル1の除去工事では、工事内容に応じて、工事開始14日前までに労働基準監督署へ建設工事計画届または建築物解体等作業届を提出する必要があります。また、大気汚染防止法に基づき、発注者は自治体へ特定粉じん排出等作業実施届出書等を提出します。さらに、一定規模以上の解体・改修工事では、事前調査結果の報告も必要です。
レベル1作業で必要な保護具(マスク・防護服)
作業内容と作業場所に応じた保護具の選定が必要です。特に、隔離養生内部で作業する場合は、電動ファン付き呼吸用保護具または同等以上の空気呼吸器・送気マスク等を使用します。
| 保護具の種類 | 規格・要件 |
|---|---|
| 呼吸用保護具 | 隔離養生内部では、電動ファン付き呼吸用保護具または同等以上の空気呼吸器・送気マスク等を使用する。隔離養生外部では、作業内容に応じてRS3・RL3の取替え式防じんマスク等を使用する場合がある |
| 防護服 | フード付きの使い捨て防護服など、粉じんの付着や持ち出しを防ぐものを使用する |
| 手袋・長靴 | 作業用手袋、専用長靴を使用する。作業後は洗浄・廃棄・保管方法を明確にする |
| 保護メガネ | 粉じんや破片の飛散が想定される場合は、ゴーグル型を使用する |
アスベスト レベル2に該当する建材と除去方法は?

保温材・耐火被覆材・断熱材などが該当する、発じん性の高い区分です。レベル1に準じた飛散防止措置が必要で、可能な場合は配管ごと切断するなど、アスベストを直接破砕しない除去方法を検討します。
レベル2に該当する主な建材と使用箇所
レベル2は密度が低く、崩れやすい性質を持つ建材が中心です。ボイラー・配管・空調設備の周辺で多く見られます。
| 主な建材 | 主な使用箇所 |
|---|---|
| 石綿含有保温材 | ボイラー本体・配管・空調ダクトの保温 |
| 石綿含有耐火被覆材 | 柱・壁の耐火被覆 |
| 屋根用折板裏断熱材 | 折板屋根の裏面断熱 |
| 煙突用断熱材 | 煙突内面の断熱・防火 |
レベル2の除去作業手順と保護具
基本的な手順はレベル1に準じますが、作業規模や建材の状態によって、隔離や保護具の選定が異なります。以下の点を確認してください。
養生・隔離:作業場をシートで囲い養生しますが、レベル1の負圧管理よりも要件が緩和される場合があります(作業規模・環境による)
湿潤化:散水または薬液噴霧でアスベストを湿らせてから除去します
配管等:アスベスト保温材等を直接破砕しないよう、現場条件に応じて配管ごと取り外す方法やグローブバッグ工法などを検討します
廃棄:廃石綿等(特別管理産業廃棄物)として二重梱包し、許可を受けた処分施設で適正に処分します
【届出について】
レベル2も、工事内容に応じて、工事開始14日前までに労働基準監督署へ建設工事計画届または建築物解体等作業届を提出する必要があります。また、大気汚染防止法に基づき、発注者は自治体へ特定粉じん排出等作業実施届出書等を提出します。一定規模以上の工事では、事前調査結果の報告も必要です。
レベル2作業で必要な保護具
隔離養生内部で作業する場合は、電動ファン付き呼吸用保護具等が必要です。隔離養生外部での作業では、作業内容に応じてRS3・RL3の取替え式防じんマスク等を使用します。
| 保護具の種類 | 規格・要件 |
|---|---|
| 呼吸用保護具 | 隔離養生内部では、電動ファン付き呼吸用保護具または同等以上の保護具を使用する。隔離養生外部では、作業内容に応じてRS3・RL3の取替え式防じんマスク等を使用する |
| 防護服 | フード付きの使い捨て防護服など、粉じんの付着や持ち出しを防ぐものを使用する |
| 手袋・長靴 | 作業用手袋、専用長靴を使用し、作業後の洗浄・廃棄・保管方法を明確にする |
アスベスト レベル3に該当する建材と除去方法は?

スレート・サイディング・床タイルなど、発じん性が比較的低い建材が該当する区分です。ただし、切断・破砕・研磨などを行うとアスベストが飛散するおそれがあるため、原則として切断や破砕を避け、湿潤化しながら原形のまま撤去することが重要です。
レベル3に該当する主な建材と使用箇所
レベル3は硬く成形された板状の建材が中心で、通常の使用状態では飛散リスクは比較的低いものの、解体・撤去作業時には適切な管理が必要です。
| 主な建材 | 主な使用箇所 | 備考 |
|---|---|---|
| スレート板・波型スレート | 屋根材・外壁材 | コロニアル・カラーベスト等の商品名で普及 |
| 石綿含有サイディング | 外壁材 | 窯業系サイディングの一部 |
| ビニル床タイル・床シート | 内装床材 | 1970〜80年代の製品に含有例あり |
| 石綿含有仕上塗材 | 内外壁の仕上材 | リシン・スタッコ等 |
| けいカル板・パーライト板 | 天井・内壁材 | 耐火・断熱目的で広く使用 |
| 石綿セメント管・石綿セメント板 | 配管・外壁 | 給排水管・外装材として使用 |
「みなし」規定について
アスベスト含有の有無が不明な建材は、分析結果が出るまで、または分析を行わずに進める場合、含有ありとみなして扱います。その際は、吹付け材、保温材、断熱材、成形板など、建材の種類に応じたレベルの作業基準を適用する必要があります。みなし含有をすべてレベル3相当で扱うのではなく、建材の性状や用途に応じた判断が必要です。
レベル3作業における届出義務と作業計画書
2020年7月の石綿則改正以降、レベル3建材についても作業基準が強化されています。ただし、レベル1・2と同じ届出義務が常に発生するわけではありません。事前調査結果の報告、作業計画書の作成、自治体条例による届出の有無を分けて確認することが重要です。
| 項目 | 条件・根拠 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 事前調査結果の報告 | 一定規模以上の解体・改修工事 | 石綿事前調査結果報告システム等により、労働基準監督署および自治体へ報告する |
| 労働基準監督署への計画届・作業届 | レベル3のみの工事では原則不要 | レベル1・2建材が含まれる場合や、別途届出対象となる工事では必要になる |
| 自治体への届出 | 自治体条例により求められる場合がある | 工事場所の自治体のルールを確認し、必要に応じて提出する |
| 作業計画書 | レベル3であっても必要 | 作業方法・飛散防止措置・保護具・廃棄方法を記載し、作業者に事前周知する |
労働基準監督署への届出が必要なケース
レベル3のみの工事では、石綿則に基づく労働基準監督署への計画届・作業届は原則不要です。ただし、以下の場合は届出が必要になることがあります。
- レベル1・2の建材も含まれている場合
- 吹付け材や保温材等を含む工事で、計画届または作業届の対象となる場合
- 建築物の用途や構造、工事内容によって別途届出が求められる場合
- 自治体条例や行政指導により、個別に提出を求められる場合
【届出が不要なケースと注意点】
純粋にレベル3建材のみの工事であれば、労働基準監督署への計画届・作業届は原則不要です。ただし、一定規模以上の工事では事前調査結果の報告が必要であり、作業計画書の作成、作業者への周知、飛散防止措置、保護具の着用、作業記録の保存も求められます。「労基署への届出不要=手続きや対策が不要」ではない点に注意してください。
レベル3の作業手順(養生・撤去・袋詰め・写真記録)
手ばらしを基本とするレベル3の除去作業では、飛散させないための丁寧な手順が求められます。以下のステップで進めてください。
| STEP | 工程 | 主な内容・要件 |
|---|---|---|
| 1 | 作業計画書の作成 | 作業方法・飛散防止措置・保護具・廃棄方法を記載し、作業者へ事前に周知する |
| 2 | 養生・飛散防止 | 作業区域を養生し、飛散防止剤または散水により建材を湿潤化する |
| 3 | 撤去(手ばらし) | 切断・破砕を避け、一枚ずつ手作業で丁寧に取り外す。やむを得ず切断等を行う場合は、より厳格な飛散防止措置を講じる |
| 4 | 写真記録 | 作業前・作業中・作業後の状態を写真等で記録し、作業の実施状況を確認できるようにする。記録は3年間保存する |
| 5 | 袋詰め・梱包 | 湿潤化した状態で厚手ポリ袋や容器に入れ、破損や飛散を防ぐ。「石綿含有産業廃棄物」等と表示する |
| 6 | 清掃 | HEPAフィルター付き真空掃除機または湿式清掃で粉じんを除去する |
| 7 | 廃棄・マニフェスト | 石綿含有産業廃棄物として許可業者に委託し、マニフェストを交付・保存する |
レベル3作業で必要な保護具(マスク・防護服)
レベル3はレベル1・2よりも発じん性が低い区分ですが、適切な防じんマスクや保護衣の着用は必要です。作業内容によって必要な保護具が変わるため、切断・破砕の有無を確認して選定しましょう。
| 保護具の種類 | 規格・要件 |
|---|---|
| 呼吸用保護具 | 石綿含有成形板等を切断・破砕等を伴わずに除去する作業では、RS2またはRL2以上の取替え式防じんマスクなどを使用する。切断・研磨を伴う場合や隔離養生内部で作業する場合は、作業内容に応じて電動ファン付き呼吸用保護具等、より高い保護具を選定する |
| 防護服 | 保護衣または作業衣を使用する。粉じんの付着や持ち出しを防ぐため、作業後の脱衣・清掃方法も決めておく |
| 手袋 | 粉じんが侵入しにくい手袋を着用する |
| 保護メガネ | 粉じん・破片の飛散が予想される場合はゴーグル型を着用する |
レベル3廃棄物の処分方法(袋詰め・廃棄ルート)
レベル3の廃棄物は「石綿含有産業廃棄物」として処分します。廃棄から最終処分まで、以下の手順を順守してください。
| 工程 | 内容・要件 |
|---|---|
| 袋詰め・梱包 | 湿潤化した状態で厚手ポリ袋や容器に入れ、破損や飛散を防ぐ。容器には石綿含有産業廃棄物であることを表示する |
| 保管 | 他の廃棄物と分離した専用エリアで保管する。破砕や他廃棄物との混合を避ける |
| 収集・運搬の委託 | 産業廃棄物収集運搬業の許可業者に委託する。委託契約書を事前に締結する |
| 最終処分 | 廃棄物の区分や処分場の受入条件に応じて、許可を受けた処分施設で適正に処分する |
| マニフェスト管理 | 廃棄物引き渡し時にマニフェストを交付し、処分完了を確認したうえで写しを5年間保存する |
レベル1・2・3の除去作業は、何が違うのか?

レベル1に近いほど、届出義務・保護具の規格・飛散防止措置は厳格になります。ただし、レベル3であっても作業計画や飛散防止措置は必要です。作業前に現場のレベルを正確に把握することが、法令遵守とコスト管理の両面で不可欠です。
レベル別の届出・保護具・養生・処分方法の比較表
以下の表でレベル間の違いを横断的に確認できます。現場のアスベスト含有建材のレベルを特定したうえで、該当する要件を満たしてください。
| 比較項目 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
|---|---|---|---|
| 発じん性 | 著しく高い | 高い | 比較的低い |
| 主な届出・報告 | 労働基準監督署への届出、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出、一定規模以上工事の事前調査結果報告 | 労働基準監督署への届出、自治体への特定粉じん排出等作業実施届出、一定規模以上工事の事前調査結果報告 | 一定規模以上工事の事前調査結果報告。自治体条例により届出が必要な場合あり |
| 作業計画書 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 呼吸用保護具 | 隔離養生内部では電動ファン付き呼吸用保護具等 | 隔離養生内部では電動ファン付き呼吸用保護具等。作業内容によりRS3・RL3等 | 切断等を伴わない成形板の除去ではRS2・RL2以上の取替え式防じんマスク等。作業内容により上位保護具を選定 |
| 防護服・保護衣 | フード付き保護衣など | フード付き保護衣など | 保護衣または作業衣 |
| 主な養生・飛散防止 | 隔離・負圧・集じん装置・湿潤化 | 隔離・養生・湿潤化 | 養生・湿潤化・原形のまま撤去 |
| 廃棄物区分 | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) | 石綿含有産業廃棄物 |
| 主な処分方法 | 許可を受けた処分施設で適正処分 | 許可を受けた処分施設で適正処分 | 廃棄物区分や処分場の受入条件に応じて適正処分 |
【レベルの特定方法】
建材のレベルやアスベスト含有の有無は、書面調査と現地での目視調査を組み合わせて判断します。書面調査や目視調査で判断できない場合は、分析調査を行うか、含有ありとみなして適切な作業基準を適用します。外観だけで安易に非含有と判断することは避けてください。
アスベストのレベル分類についてよくある質問(FAQ)

実務でよく迷うポイントをQ&A形式でまとめました。届出の要否・レベルの判断方法・保護具の選定など、見落としがちな疑問に答えます。
Q1. レベル3のアスベスト工事でも届出は必要ですか?
A. レベル3のみの工事では、労働基準監督署への計画届・作業届は原則不要です。ただし、一定規模以上の解体・改修工事では事前調査結果の報告が必要です。また、自治体条例により届出を求められる場合もあります。作業計画書の作成、飛散防止措置、保護具の着用、作業記録の保存も必要です。
Q2. 建材がどのレベルか判断できない場合はどうすればよいですか?
A. 建材の種類や施工状況を確認し、書面調査・現地での目視調査を行います。それでもアスベスト含有の有無やレベルを判断できない場合は、専門機関へ分析を依頼するか、含有ありとみなして建材の種類に応じた作業基準を適用します。
Q3. レベル3の作業にはどのようなマスクが必要ですか?
A. 石綿含有成形板等を切断・破砕等を伴わずに除去する場合は、RS2またはRL2以上の取替え式防じんマスクなどを使用します。切断・研磨を伴う場合や隔離養生内部で作業する場合は、作業内容に応じて電動ファン付き呼吸用保護具等、より高い保護具を選定します。
Q4. レベル1の建材が含まれているかどうかは、目視でわかりますか?
A. 外観だけで正確に判断することは困難です。特に吹付け材はロックウール等と混同しやすいため、設計図書、建材資料、現地確認を組み合わせて判断します。判断できない場合は分析調査を行うか、含有ありとみなして上位の作業基準を適用することが重要です。
Q5. レベル3の作業写真はなぜ必要なのですか?
A. 作業写真などの記録は、作業が適切に行われたことを示す重要な資料です。作業前・作業中・作業後の状態を記録し、3年間保存する必要があります。行政検査や発注者への報告に対応できるだけでなく、後のトラブル防止にもつながります。
Q6. レベルの異なる建材が混在している場合はどう対応しますか?
A. レベル1・2の建材が一部でも含まれている場合は、その工事全体に上位レベルの 作業基準を適用することが基本です。レベルごとに作業区画を分けて管理する方法もありますが、区画の設定・管理が複雑になるため、事前に作業計画書で明確に整理しておく 必要があります。
アスベストのレベルを正しく把握し、適切な作業対策を
アスベスト含有建材のレベルは、除去作業の手順・届出・報告・廃棄方法を決める重要な判断基準です。レベルを誤れば法令違反につながるだけでなく、作業者や周辺環境への健康リスクにも直結します。まずは事前調査によって建材の種類やアスベスト含有の有無を確認することが、安全な工事の出発点です。
レベルの特定には、着工年代・素材・設計図書・製品情報などの客観的な根拠に基づいた判断が求められます。書面調査と現地確認を行ったうえで、分析調査を実施するか、みなし含有で進めるかを選択することが実務上の基本です。判断に迷う部位がある場合は、無理に省略せず、分析またはみなし含有を含めて検討することが、手戻りの少ない進め方につながります。
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【参考文献】
厚生労働省・環境省:「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」
厚生労働省:「石綿総合情報ポータルサイト(改正石綿則のポイント)」
厚生労働省:「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】」
国土交通省・経済産業省:「石綿含有建材データベース」
国土交通省:「目で見るアスベスト建材(第2版)」
環境省:「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」
環境省:「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業マニュアル」

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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