【2026年最新】アスベスト補助金はいくら?対象工事と申請方法

アスベストの調査・除去には、国(国土交通省・厚生労働省)や自治体が設ける補助金制度を活用可能です。ただし、制度の有無や補助率、上限額は自治体ごとに異なり、「制度があるかどうか」だけでなく、「対象になる建材・工事か」「申請できるタイミングか」まで理解しておく必要があります。

解体・改修工事に携わる事業者にとって、補助金制度への対応はコスト管理と工程管理の両面で重要な課題です。多くの制度では交付決定前の契約・着工が対象外となるため、工事のスケジュールを組む前に、制度の有無や申請条件を確認しておきましょう。

本記事では、アスベスト補助金の全体像、国・自治体それぞれの制度、補助金額の目安、申請の流れ、自治体ごとの整備状況の違いから注意点までを整理しました。解体・改修工事を計画する際の、申請要否や工程検討の判断材料としてご活用ください。

【本記事の要約】
・アスベストの調査・除去には、国と自治体が設ける補助金制度を活用できる場合がある
・補助対象・補助率・上限額は自治体ごとに異なり、着工前の確認が欠かせない
・補助金は交付決定前の契約・着工が対象外になることが多く、申請のタイミングが受給を左右する

目次

アスベスト補助金とは?国と自治体の役割

「アスベスト対策には費用がかかるが、国や自治体の補助金は本当に使えるのか」

解体・改修工事に携わる事業者にとって、こうした疑問は珍しくありません。

結論から言うと、アスベストの調査・除去に使える公的支援制度(補助金・助成金)は存在します。ただし、制度の内容は全国一律ではなく、自治体ごとに差があるのが実情です。

補助金と助成金の違い

区分特徴
助成金一定の要件を満たせば支給されやすい
補助金予算枠・審査があり、必ず支給されるとは限らない

※実務上はどちらも「費用負担を軽減する公的支援制度」として扱われるため、本記事では総称して「補助金」と表記します。

国と自治体、それぞれの役割

主体役割
国(国土交通省・厚生労働省)支援制度の大枠を整備し、国庫補助の仕組みを設ける
地方公共団体(都道府県・市区町村)実際の申請窓口として受付、補助率・上限額・対象建材・対象工事・受付時期を地域ごとに設定し、交付決定から支払いまでを担当
【ポイント】

申請窓口は、建物の所在地を所管する自治体になります。同じアスベスト対策工事でも、地域によって使える制度・金額が異なる点には、注意が必要です。

アスベスト補助金にはどんな種類がある?

解体・改修中の室内に脚立を立て、作業員が壁材や天井付近の部材を撤去している様子。

アスベスト対策に使える補助金は、所管する省庁や対象となる建材・工事内容によって性質が異なり、大きく分けると次の4つに整理できます。それぞれの補助率や上限額の目安、申請窓口の違いは、次の一覧のとおりです。

4つの支援制度の一覧

No.制度名所管主な対象補助率・上限の目安
①住宅・建築物アスベスト改修事業(調査)国土交通省吹付けアスベスト等の分析調査費原則25万円/棟が上限(自治体経由)
②住宅・建築物アスベスト改修事業(除去等)国土交通省吹付けアスベスト等の除去・封じ込め・囲い込み工事対象工事費の1/3以内(上限なしの制度が多い)
③石綿障害予防対策費補助金厚生労働省中小企業事業者が行う除去等費用対象工事費の1/2以内・上限100万円目安(都道府県労働局経由)
④自治体独自の補助金制度都道府県・市区町村個人住宅、小規模事業所建築物など自治体ごとに大きく異なる(例:1/3以内・上限50万円など)

※上記は目安です。対象建材・対象工事・補助率・上限額は自治体ごとに大きく異なるため、必ず案件所在地の自治体窓口で最新情報を確認してください。

① アスベスト調査費用の補助金(分析調査支援)

  • 対象:吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物
  • 対象費用:現地確認、サンプリング、分析機関による分析、報告書作成費 など
  • 補助の目安:国の制度上、限度額は原則25万円/棟
  • 注意点:吹付け系建材が前提の制度が多く、成形板・床材・外壁仕上塗材などは対象外となる場合がある

② アスベスト除去・解体費用の補助金(除去等支援)

国土交通省の「建築物アスベスト改修事業」にあたる制度です。主に民間建築物を対象に、アスベスト含有建材の除去・封じ込め・囲い込みといった改修工事を支援します。

  • 対象:吹付けアスベスト、アスベスト含有保温材等が使用されていることが確認された建築物
  • 対象工事:除去工事、封じ込め工事、囲い込み工事
  • 補助の目安:対象工事費の1/3以内(上限額を設けていない制度も多い)
  • 条件:耐火建築物または準耐火建築物であることが条件になる場合がある
  • 注意点:建物全体の解体費用が対象になるとは限らない。「アスベスト対策部分」の費用に限定されることが多く、見積書はアスベスト対策費とその他工事費を区分しておくことが重要

③ 石綿障害予防対策費補助金(中小企業向け/厚生労働省)

厚生労働省が、労働者の健康を守る観点から設けている制度です。

  • 対象:中小企業事業者が行うアスベスト含有建材の除去等
  • 補助の目安:対象工事費の1/2以内・上限100万円
  • 申請窓口:都道府県労働局

④ 自治体独自の補助金制度(屋根・リフォーム工事などにも活用例あり)

国の制度だけではカバーしきれない部分を補うため、多くの地方自治体が独自の補助金制度を設けています。

  • 対象:個人所有の住宅、小規模な事業所建築物など(自治体により対象範囲は異なる)
  • 補助の目安:アスベスト除去工事費用の一部(例:3分の1以内、上限50万円など)
  • 活用例:屋根の除去・改修工事、リフォームに伴うアスベスト除去など、住宅の改修工事に付随するケースでも活用されることがある
  • 申請窓口:自治体の環境部門・建築部門

アスベストの調査・除去にいくら補助金が出る?

白い全身防護服と全面形防じんマスクを着用した作業員が、飛散防止用の湿潤液をスプレーしながら壁面のアスベスト(石綿)建材を慎重に除去・剥離している

アスベストの調査・除去には、建物の規模や工法に応じてまとまった費用がかかります。ここで示すのは、実際にかかる費用の目安と、そのうち補助金でカバーされやすい範囲を整理した資金計画の参考情報です。

調査・除去費用と補助対象の目安一覧

項目費用の目安補助金でカバーされやすい範囲
アスベスト調査費木造一戸建てで10万〜30万円程度原則25万円/棟を上限に補助対象になりやすい
除去工事費(発じん性レベル1・吹付け材)1㎡あたり1.5万〜8.5万円程度対象工事費の1/3程度が補助対象になりやすい
建物全体の解体費用案件により大きく変動アスベスト対策部分以外は対象外になることが多い

※費用は建物の規模・構造・地域・施工内容によって変動します。あくまで目安としてご参照ください。

補助金の申請はどんな流れで進む?

補助金は交付決定前に契約・着工すると対象外になる制度が多く、工事費用をいったん立て替えたうえで後払いされる仕組みが一般的です。申請から受給までの基本的な流れを、次の5つのステップに分けて確認しておきましょう。

申請の5ステップ

STEP内容
1. 事前相談・事前調査自治体窓口へ制度の有無を確認し、専門業者にアスベスト含有材の有無を調査依頼
2. 工事計画・見積取得調査結果にもとづき工事計画を立て、複数業者から見積もりを取得
3. 交付申請補助金交付申請書、工事計画書、分析結果報告書、見積書、登記簿謄本などを揃えて提出
4. 交付決定通知審査後、承認されれば交付決定通知を受領。通知後に契約・着工するのが原則
5. 工事実施・実績報告有資格者による施工。完了後は報告書・関連書類を提出し、審査後に補助金が支払われる
【注意すべきタイミング】

交付決定通知を受け取る前に契約や着工(仮設工事を含む)をしてしまうと、補助対象外と判断される自治体が多いため注意が必要です。事前調査や工事計画の作成には時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュール管理を心がけましょう。

なぜ自治体によって補助制度が違うのか?

理由は、国が制度の大枠を整え、実際の創設・運用を各自治体の判断に委ねているためです。そのため、同じアスベスト対策工事でも、所在地によって使える制度や金額に差が生まれます。

自治体区分別の整備状況

国土交通省の調査(令和7年4月1日時点)を見ても、自治体区分ごとの整備状況には明確な差があります。

  • 政令指定都市:約95%が制度を創設
  • 市区町村(政令市除く):約22.5%にとどまる
  • 市区町村に制度がなくても、都道府県側で補助・融資制度を持つ場合がある

複数エリアで施工する場合の注意点

複数エリアで工事を手がける事業者は、案件ごとに「市区町村」と「都道府県」の両方を確認する視点が重要です。都道府県別・自治体別の詳細な整備状況は、記事末の参考文献もあわせてご確認ください。

補助金の申請では、書類の不備や手続きの順序を誤ると、せっかく対象工事であっても受給できなくなるおそれがあります。

着工前に確認すべきチェック項目

着工前に、次のチェックリストを使って対象条件や必要書類の準備状況を必ず確認しておきましょう。

  • ☐ 契約・着工前に交付決定を受けているか(フライング契約・着工に注意)
  • ☐ 対象建材は吹付けアスベスト等か(成形板・床材・外壁仕上塗材は対象外になりやすい)
  • ☐ 建物用途は対象か(住宅限定の制度もあり、店舗・事務所・工場は個別確認が必要)
  • ☐ 解体予定の建物でも申請可能な制度か(対象外とする自治体もある)
  • ☐ 見積書はアスベスト対策費とその他工事費を分けて整理しているか
  • ☐ 施工前・施工中・施工後の写真を漏れなく記録しているか
  • ☐ 今年度の予算はまだ残っているか(年度途中で受付終了となる場合がある)
  • ☐ 工事内容や費用に変更が生じた場合、速やかに所定の変更手続きを行っているか
  • ☐ 2026年1月以降、対象となる工作物の解体では、資格者による事前調査が必要になっているか

アスベスト補助金に関するよくある質問(FAQ)

アスベスト補助金の申請を検討するにあたって、自治体ごとの制度の違いや、実際に手続きを進める中で疑問に感じやすいポイントを、Q&A形式で5つに整理しました。申請準備を進める際の参考としてご活用ください。

Q1. 個人事業主やテナントとして入居している事業者でも補助金は使えますか?

建物の所有者以外(賃借人・テナント事業者)が申請できるかどうかは自治体ごとに条件が異なります。多くの制度では建物所有者本人、または所有者の同意を得た代理人が申請者となるため、賃借人単独では対象外となるケースもあります。着工前に、申請者の要件を自治体窓口で確認してください。

Q2. すでに契約・着工してしまった工事は、あとから補助金を申請できますか?

多くの制度で、交付決定前の契約・着工は補助対象外となります。すでに着工してしまった案件は、原則としてその工事分の補助金を受けるのは難しく、次回の工事分から改めて事前相談を行うのが得策です。

Q3. 調査費用の補助金と除去費用の補助金は、同時に申請できますか?

制度上は、調査支援と除去等支援を別々の申請として扱う自治体が多く、両方を活用できる場合があります。ただし、自治体によっては予算枠や申請順序に条件があるため、事前相談の段階で両方の活用可否を確認しておくと手戻りを防げます。

Q4. マンションなど区分所有建物の共用部分でも補助金の対象になりますか?

共用部分(廊下・機械式駐車場・共用配管まわりなど)を対象とする自治体があり、上限額が住宅部分と別枠で設定されるケースも見られます。管理組合など所有形態が複数にまたがる場合は、申請者の扱いも含めて自治体に個別確認が必要です。

Q5. 補助金の交付決定までにはどのくらいの期間がかかりますか?

自治体や時期(年度当初・年度末など申請集中時期)によって差があり、数週間から1〜2カ月程度かかることもあります。工期が決まっている案件では、事前相談をできるだけ早い段階で行い、逆算してスケジュールを組むことが重要です。

補助金は自治体ごとに条件が異なると理解し、交付決定前の着工は避ける

アスベストの補助金は、国が制度の大枠を整えていても、実際の対象建材・補助率・上限額は自治体によって大きく異なります。同じ工事内容であっても、所在地が変われば使える制度や金額は変わるため、「補助金があるかどうか」だけで判断するのは危険です。

着工前には、所在地の自治体窓口で対象建材・工事内容・今年度の予算残数を確認し、交付決定を受けてから契約・着工する流れを徹底しましょう。見積書についても、アスベスト対策費とその他工事費を分けて整理しておく必要があります。

アルフレッドでは、調査費用を極力抑えながらも、スピーディーで高精度なアスベスト分析を実施し、土曜日を含めて安定的に3営業日以内の短納期で分析結果をお出ししています。また、補助金の交付申請書類として活用できる行政向けの分析結果報告書の作成など、面倒な作業もお任せください。

アスベスト対策に使える公的支援制度を、さらに詳しく知りたい方へ

補助金・助成制度について詳しくまとめたお役立ち資料を無料で配布しています。ぜひ、工事計画や申請準備の参考にしてください。

【参考文献】
厚生労働省:「石綿総合情報ポータルサイト(改正石綿則のポイント)」
厚生労働省:「石綿事前調査結果報告システムについて」
厚生労働省:「補助金制度|石綿総合情報ポータルサイト」
厚生労働省:「石綿総合情報ポータルサイト(改正石綿則のポイント)」
国土交通省:「民間建築物における吹付けアスベスト等飛散防止対策に関する調査」

監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

 
お役に立ちましたら、ぜひ関係者様にシェアをお願いします


関連記事

コラム
防護服を着た人が建設現場の壁からアスベストを除去している
アスベスト労災で補償を受けるには?認定条件・補償金額・申請手順・時効を解説
Read more
コラム
防護服、ヘルメット、全面マスクを着用した二人の人物が、下からのアングルで古びたスレート屋根の上で作業している。
アスベスト給付金とは?3つの補償・救済制度の違いと申請のポイントを解説
Read more
コラム
アスベストに関する医学・健康の議論を映し出す、オフィスコンピューターの画面
アスベスト対策工事に必要な届出とは?アスベストレベル別に解説
Read more