アスベストが含まれる瓦の見分け方とは?屋根材の種類別リスクと調査方法を解説

建物の屋根を斜め上から俯瞰で捉えた写真。均一に並んだスレート瓦(カラーベスト・コロニアル等)が広範囲に映っており、屋根材の全体的な配置と色あせなどの経年劣化の状態が確認できる。

屋根材に使われる「瓦」とひと口にいっても、そのすべてにアスベスト(石綿)が含まれているわけではありません。実際、住宅屋根用化粧スレートには石綿含有製品が多く確認されており、セメント瓦も製造年代や製品によっては個別確認が必要です。一方、モニエル瓦や和瓦は比較的リスクが低いと考えられます。そのため、見た目や呼び名だけで判断するのではなく、まずは対象の屋根材がどの種類に該当するのかを整理することが重要です。

また、アスベスト含有の有無は、外観だけで確定できるものではありません。建築年月や設計図書、メーカー情報を確認し、必要に応じて分析調査を行うことで、はじめて客観的な判断が可能になります。この記事では、屋根材の種類ごとの含有リスクを整理したうえで、正しい確認手順と、含有が判明した場合のメンテナンス・改修方法まで分かりやすく解説します。

【本記事の要約】
・アスベスト含有製品が確認されているのは主に住宅屋根用化粧スレートで、セメント瓦も製造年代や製品によっては確認が必要
・瓦の種類は見た目だけで断定せず、建築年月、設計図書、メーカー情報、分析調査を組み合わせて確認することが重要
・アスベスト含有瓦が使われていても、直ちに危険とは限らず、塗装、カバー工法、葺き替えなどの選択肢を状況に応じて検討可能

アスベストが含まれている瓦の種類は?

白い防護服と全面マスクを着用した作業員が、屋根の上でアスベスト含有建材の除去またはサンプリング作業を行っている様子。

住宅屋根用化粧スレートにはアスベスト含有製品が多く確認されており、特に古い製品では確認しておくことが重要です。また、セメント瓦も、製造年代やメーカー、製品によっては含有の可能性があるため、個別確認が欠かせません。

一方で、モニエル瓦や和瓦は比較的リスクが低いと考えられますが、見た目や通称だけで断定せず、まずは対象の屋根材がどの種類に分類されるのかを把握することが重要です。

そもそも瓦にアスベストを使用した背景

  • 強度の飛躍的な向上:セメントなどの主原料にアスベストの繊維を混ぜ込むことで「つなぎ」の役割を果たし、薄い屋根材でも割れにくく高い引張強度を持たせることができました。
  • 耐火性と耐久性の確保:熱や摩擦に強く、長期間風雨にさらされる屋根材としての耐久性を安価に担保できる素材として重宝されました。
  • 軽量化による耐震性への寄与:従来の和瓦に比べて屋根全体を非常に軽く作れるため、建物の耐震性向上を推進する時代背景とも合致し、戸建て住宅を中心に広く普及しました。

屋根材別の含有リスクと特徴一覧

屋根材の種類一般的な含有リスク主な特徴(※判定の目安)
スレート瓦アスベスト含有製品が多い厚さ約5mm。非常に薄く、平らな板状。
セメント瓦製品により確認が必要厚さ10mm以上。和瓦に似るが角が鋭い。
モニエル瓦比較的低い(※要確認)厚さ10mm以上。断面(小口)が凸凹している。
和瓦(陶器瓦)なし粘土を焼成。表面に強いツヤがあり角が丸い。

① スレート瓦(化粧スレート)のアスベスト含有リスク

【高い含有リスク】
2004年まで製造された住宅屋根用化粧スレートの中には、強度を高める目的でアスベストを含有していた製品が確認されています。コロニアルやカラーベストなどの通称で呼ばれることもありますが、最終的には商品名やメーカー情報で確認することが重要です。

【普及率の高さ】
軽量で施工しやすいため、1970年代以降の戸建て住宅で広く普及しており、改修現場で遭遇する確率が最も高い屋根材です。

②  セメント瓦のアスベスト含有リスクと製造年代

【製品によっては確認が必要】
セメント瓦は、セメントと川砂を水で練って成型した屋根材です。スレート瓦のようにアスベスト含有製品が広く知られている建材とは異なりますが、製品によっては確認しておくことが必要なケースもあります。

【確認時に押さえたいポイント】
一律に含有・非含有を判断しにくいため、製造年代やメーカー、商品名をもとに個別確認することが重要です。古い製品では、設計図書やメーカー資料を確認し、特定できない場合は分析調査によって判断します。

③ モニエル瓦・和瓦(陶器瓦)には含まれるのか?

【モニエル瓦(乾式洋瓦)】
セメント瓦の一種ですが、名称だけで断定せず、個別製品の仕様確認や必要に応じた分析調査によって確認することが重要です。

【和瓦(日本瓦・陶器瓦)】
粘土を高温で焼き上げて作るため、本体にアスベストが使用されることはありません。

アスベストの有無を確定させるための「正しい手順」

戸建て住宅の全景模型。屋根にはアスベスト含有の可能性があることを虫眼鏡で覗くイメージで表現している

外観から「含有の可能性」を疑い、その上で「建築年月」「設計図書」「分析調査」の3ステップで客観的に判定します。

ステップ1 》着工日によるスクリーニング

  • 2006年(平成18年)9月1日以降の着工:アスベスト0.1%超の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止された後に当たるため、含有製品の使用可能性は低くなります。ただし、着工日だけで含まれていないと断定するのではなく、設計図書や製品情報による確認を基本とすることが重要です。
  • それ以前の着工:種類によってはアスベスト含有の可能性があるため、確認しておくことが重要です。

ステップ2 》設計図書・メーカー情報の照合

設計図書や修繕記録から「商品名」を特定します。特定できた場合は、メーカーが発行している「アスベスト含有有無一覧表」等と照らし合わせます。商品名が特定できない場合は、アスベスト含有の可能性を前提に慎重に扱い、必要に応じて分析調査で確定することが推奨されます。

ステップ3 》専門機関によるアスベスト分析調査

目視や推測だけで非含有と判断するのではなく、資料で特定できない場合は、瓦の一部を検体として採取し、JIS規格に基づいた分析を行います。確実に非含有を証明し、処分方法や費用を適切に判断するためにも、分析調査は有効な確認手段です。

アスベスト含有瓦のメンテナンス・改修にはどのような工法がある?

解体中の建物の屋根裏。剥き出しの梁から古い断熱材が垂れ下がり、瓦礫が散乱している目視判定が困難な隠蔽部の状況。

主に「塗装工事」「屋根カバー工法」「葺き替え工事」の3つの選択肢があり、屋根の劣化状況や将来的な予算計画に合わせて選択します。

基本的にアスベスト含有建材は直ちに危険ではない

アスベストを含む瓦は、セメント等で強固に固められた「非飛散性」の成形板です。いわゆるレベル3建材に分類されます。通常の使用状態では飛散しにくいため、直ちに健康被害に結びつくものではありません。

ただし、切断や破砕、劣化の進行した状態での不用意な作業は飛散リスクを高めるため、適切なメンテナンス計画を立てることが重要です。

① 塗装工事(現状維持と保護)

【特徴】
アスベスト入りの屋根材は非常に頑丈で割れにくいため、表面の塗膜を更新することで耐久性を維持する工法です。

【メリット】
3つの工法の中で最も費用を抑えられ、アスベストを飛散させるリスクも低い点にあります。

【注意点】
スレート材自体の耐用年数は20〜30年程度です。あくまで一時的な延命措置となるケースが多いのが実情です。

② 屋根カバー工法(重ね葺き)

【特徴】
既存のアスベスト含有屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を被せる工法です。

【メリット】
古い屋根の撤去・処分費用がかからないため、コストを大幅に抑えることができます。

【注意点とリスク】

  • 下地の状態:野地板などが腐食している場合は施工できません。
  • 将来のコスト:カバー工法は、下地の状態や将来の改修計画を踏まえて採用を判断しましょう。将来的に再改修が必要になった場合、既存屋根と新設屋根の両方を撤去する可能性があり、結果として撤去・処分コストが将来に持ち越される場合があります。

③ 葺き替え工事(根本的な解決)

【特徴】
既存のアスベスト含有屋根材をすべて撤去・処分し、新しい屋根材に交換する工法です。

【メリット】
アスベスト含有屋根材を撤去できるため、将来的な管理の負担を減らしやすく、長期的な改修計画を立てやすくなります。

【デメリット】
アスベストの適正処分費用や「手ばらし」の人件費がかかるため、初期費用は高くなりやすい傾向があります。

屋根瓦のアスベスト対策は『材質の見極め』から始まる

屋根瓦のアスベスト対策は、見た目や通称ではなく、まず材質と製品情報を正確に見極めることから始まります。スレート瓦、セメント瓦、モニエル瓦、和瓦では含有リスクが異なり、スレート瓦やセメント瓦では確認しておくことが重要です。

建築年月、設計図書、メーカー情報、分析調査を段階的に組み合わせながら判断することで、法令遵守、処分費用の適正化、改修工事の円滑な進行につなげやすくなります。

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【参考文献】
厚生労働省:「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】」
国土交通省・経済産業省:「石綿(アスベスト)含有建材データベース」
国土交通省:「目で見るアスベスト建材(第2版)」
環境省:「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業マニュアル」
環境省:「大気汚染防止法及び政省令の改正について」
独立行政法人環境再生保全機構 ERCA:「アスベスト(石綿)とは?」
厚生労働省:「石綿含有建材調査における現地調査・分析調査の解説資料」
厚生労働省:「第2講座 石綿含有建材の建築図面調査」

監修者:三井伸悟

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。

 
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