ガスケットにアスベストは含まれている?確認方法と除去の注意点

配管フランジやバルブ周辺の古いガスケットには、アスベストが含まれている可能性があります。吹付け材や天井ボードのように目視で確認しやすい建材と異なり、シール材は確認対象から漏れやすい部材です。解体・改修・メンテナンスの現場で、事後的に発覚するケースも少なくありません。
本記事では、アスベスト含有ガスケットが使われやすい場所、見分け方、調査時の確認ポイント、除去時の注意点を解説します。見落としやすいシール材の確認漏れを防ぎ、解体・改修前の調査や作業計画に役立ててください。
【本記事の要約】
・配管フランジやバルブ周辺の古いガスケットは、建材調査だけでは見落としやすい
・外観だけでアスベスト含有を判断することは難しく、メーカー資料や分析調査との併用が必要
・除去時は乾燥状態での研磨・破砕を避け、湿潤化と飛散防止対策を徹底する
- 1. アスベスト含有ガスケットとは?
- 1.1. ガスケットは静止部分に使われるシール材
- 1.2. ガスケットとパッキンの違い
- 2. アスベスト含有ガスケットの見分け方は?
- 2.1. 見た目だけで判断しない
- 2.2. 設計図書・仕様書・メーカー資料を確認する
- 2.3. メーカー公表リストで製品名や型番を確認する
- 2.4. 石綿含有建材データベースも活用する
- 2.5. 使用年代と補修履歴を確認する
- 2.6. 2006年前後を一つの目安にする
- 3. 解体・改修前に確認すべきポイントは?
- 3.1. 調査範囲に設備部材を含める
- 3.2. 事前調査で確認すべき項目
- 3.3. 作業前に整理したいチェックリスト
- 3.4. 事前調査は資格者要件も確認する
- 4. アスベスト含有ガスケットの除去方法は?
- 4.1. 除去作業の基本手順
- 4.2. 湿潤化と飛散防止を徹底する
- 4.3. フランジ面の清掃時に注意する
- 4.4. 除去の際に注意すべき作業内容
- 4.5. 専門業者に相談すべきケース
- 5. アスベスト含有ガスケットについてよくある質問(FAQ)
- 5.1.1. Q1. アスベスト含有ガスケットのアスベストレベルは?
- 5.1.2. Q2. アスベスト含有ガスケットはどのように処分しますか?
- 5.1.3. Q3. ガスケットが固着して外れない場合はどうすればよいですか?
- 5.1.4. Q4. アスベスト含有ガスケットの採取は誰でもできますか?
- 5.1.5. Q5. 少量のガスケットでも事前調査の対象になりますか?
- 5.1.6. Q6. 交換時は非アスベストガスケットを選べばよいですか?
- 6. アスベスト含有ガスケットは解体・改修前の確認が重要
アスベスト含有ガスケットとは?

アスベスト含有ガスケットは、配管や機器の接合部で漏れを防ぐシール材です。古い設備では、耐熱性や耐薬品性を高める目的でアスベストが使われた製品が残っている場合があります。
ガスケットは静止部分に使われるシール材
ガスケットは、動かない接合面のすき間をふさぐ部材です。液体、気体、蒸気などの漏れを防ぐ目的で使用されます。
主な使用箇所は、以下のとおりです。
| 使用箇所 | 具体例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 配管 | フランジ接合部 | 古いガスケットの残存 |
| バルブ | 接合部まわり | 部位ごとの名称に注意 |
| 機械設備 | ポンプ・熱交換器 | 補修履歴 |
| 熱設備 | ボイラー・タンク | 高温対応品の使用有無 |
| 倉庫・保管場所 | 予備部品・在庫品 | 製造年・型番 |
ガスケットとパッキンの違い
ガスケットとパッキンはいずれも、漏れを防ぐためのシール材です。一般には、使われる場所や対象部位によって区別されます。
| 項目 | ガスケット | パッキン |
|---|---|---|
| 主な使用部位 | 配管フランジなどの静止部分 | ポンプ軸などの運動部分 |
| 主な役割 | 接合面からの漏れ防止 | 動く部分からの漏れ防止 |
| 形状例 | シート状、リング状 | 編組状、リング状、充填材 |
ガスケットもパッキンも、液体や気体の漏れを防ぐ部材です。古い設備では、どちらにもアスベスト含有品が残っている可能性があります。本記事では主に配管フランジなどに使われるガスケットを中心に解説しており、パッキンについては、ガスケットと共通する範囲に絞って補足しています。
アスベスト含有ガスケットの見分け方は?

ガスケットは、外観だけでアスベスト含有の有無を判断することが困難です。製品名、使用年代、メーカー資料、図面、現地確認を組み合わせ、不明な場合は分析調査を検討します。
見た目だけで判断しない
色、厚み、形状だけでアスベスト含有を断定することはできません。劣化したガスケットは判別しにくく、非含有品と見分けがつかない場合もあります。
とくに、固着した古いガスケットは一部が欠けていたり、接合面に残ったりしていることがあります。外観だけで「問題ない」と判断せず、資料や履歴とあわせて確認しましょう。
設計図書・仕様書・メーカー資料を確認する
最初に確認したい資料は、以下のとおりです。製品名や型番が分かれば、メーカー公表資料やメーカーへの照会によって確認できる場合があります。
| 確認資料 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 竣工図 | 設備の設置時期、配管ルート |
| 設備図 | フランジ、バルブ、機器の位置 |
| 仕様書 | 使用部材、材料名、規格 |
| 製品カタログ | ガスケットの種類、材質 |
| メーカー資料 | アスベスト含有の有無 |
| 改修履歴 | 交換時期、補修部材 |
メーカー公表リストで製品名や型番を確認する
一部メーカーは、過去に製造・販売したアスベスト含有ガスケットやパッキンのリストを公開しています。製品名、品番、型番、メーカー名が分かる場合は、公表資料と照合することで、含有有無を判断する手がかりになります。
| メーカー | 公開資料 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| ニチアス株式会社 | 過去に販売したアスベスト含有製品 シール材 ガスケット・パッキン | TOMBO No.、製品名、アスベスト含有率、アスベストの種類など |
| 株式会社バルカー | アスベスト関連情報 | アスベスト含有製品一覧表、シール材の取扱い資料など |
| 株式会社バルカー | 過去に販売したアスベスト含有製品一覧表 | 製品番号、製品名、生産中止時期、アスベスト含有率など |
【注意】メーカー公表リストに掲載がないことだけを理由に、非含有と断定するのは避けましょう。製品の特定ができない場合や、資料と現物が一致しない場合は、分析調査による確認が必要です。
石綿含有建材データベースも活用する
建材に関する情報は、国土交通省・経済産業省が整備した石綿含有建材データベースでも確認できます。商品名、メーカー名、一般名、アスベストの種類、含有率などを検索できるため、建材系の確認に有効です。
【注意】データベースは主に建材情報を対象としているため、ガスケットやパッキンなどの設備部材をすべて網羅しているとは限りません。ガスケットの確認では、メーカー公表リスト、図面・仕様書、現地確認、分析調査を組み合わせることが重要です。
使用年代と補修履歴を確認する
古い設備ほど、アスベスト含有ガスケットが残っている可能性は高くなります。ただし、途中で非アスベスト品に交換されている場合もあるため、設置年だけでなく補修履歴まで確認しましょう。
【確認したいポイント】
- 設備の設置年
- 配管や機器の更新時期
- フランジ部の補修履歴
- ガスケットの交換履歴
- 古い在庫品が使われた可能性
- 中古設備や輸入設備の有無
2006年前後を一つの目安にする
日本では、労働安全衛生法施行令の改正により、2006年9月1日から、アスベストを重量の0.1%を超えて含有する製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則禁止されました。
そのため、2006年9月1日以前に設置・補修された設備や、古い在庫部品を使った可能性があるガスケットは、アスベスト含有の可能性を考慮して確認する必要があります。
【注意】2006年以降の設備であっても、補修履歴が不明な場合や、古い在庫品・輸入品・中古設備に付属するシール材が使われている場合は注意が必要です。年代だけで含有・非含有を断定せず、製品資料、メーカー公表リスト、現地確認、必要に応じた分析調査を組み合わせて判断しましょう。
解体・改修前に確認すべきポイントは?

解体・改修前には、ガスケットを含む設備部材についてもアスベスト含有の可能性を確認します。建材だけでなく、配管や機械設備のシール材まで調査範囲に含めることが重要です。
調査範囲に設備部材を含める
アスベスト調査では、吹付け材や成形板だけでなく、配管・機械設備のシール材にも注意が必要です。設備撤去を伴う工事では、ガスケットが使われている部位を事前に洗い出します。とくに確認したい場所は、以下のとおりです。
- 機械室
- ボイラー室
- 工場内の配管設備
- 受水槽・タンクまわり
- 熱交換器まわり
- ポンプ・バルブ周辺
- 古い設備倉庫や予備部品置き場
事前調査で確認すべき項目
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 使用場所 | 配管、バルブ、ポンプ、ボイラーなど |
| 使用年代 | 設置年、補修年、交換履歴 |
| 製品情報 | メーカー名、型番、仕様書 |
| 図面資料 | 竣工図、設備図、改修図 |
| 現地状態 | 劣化、固着、破損、剥離の有無 |
| 判断結果 | 含有、非含有、不明を記録 |
作業前に整理したいチェックリスト
- ガスケットの設置場所を確認したか
- 設備図や仕様書を確認したか
- 製品名や型番を記録したか
- 補修・交換履歴を確認したか
- アスベスト含有の可能性を評価したか
- 不明部材の分析要否を判断したか
- 除去時に発じんしやすい部位を確認したか
- 作業者間で判断を共有したか
事前調査は資格者要件も確認する
建築物の解体・改修工事では、2023年10月1日以降着工の工事から、建築物石綿含有建材調査者などの資格者による事前調査が必要です。また、配管設備や貯蔵設備などの工作物についても、2026年1月1日以降着工の工事から、対象工作物ごとに定められた資格者による事前調査が必要になります。
ガスケットは配管やバルブが建築物に付属する設備(給排水管・空調設備等)の場合は建築物の事前調査の対象、独立した産業設備(プラント配管、貯蔵タンク等)の場合は工作物の事前調査の対象となるのが一般的な整理です。判断に迷う場合は、調査を依頼する事業者や自治体の窓口に確認することを推奨します。
アスベスト含有ガスケットの除去方法は?

アスベスト含有の可能性があるガスケットは、乾燥状態で削る、割る、こじる作業を避けます。湿潤化や局所養生を行い、発じんを抑えながら慎重に取り外すことが重要です。
除去作業の基本手順
除去時は、作業範囲を明確にしたうえで、粉じんを発生させにくい方法を選びます。
- 作業範囲を確認する
- 周辺を必要に応じて養生する
- 対象部材を湿潤化する
- 手工具で慎重に取り外す
- 付着物を飛散させないよう清掃する
- 除去物を分別して保管する
- 作業内容を写真や記録に残す
湿潤化と飛散防止を徹底する
ガスケットが乾燥していると、取り外し時に粉じんが発生しやすくなります。湿潤化を行い、必要に応じて局所的な養生や集じん対策を講じましょう。
湿潤化が難しい設備や、周辺に電気設備がある場合は、事前に作業方法を検討する必要があります。無理に作業を進めず、現場条件に合う飛散防止策を選ぶことが大切です。
フランジ面の清掃時に注意する
古いガスケットが固着している場合、フランジ面に残った付着物を取り除く作業で発じんする可能性があります。強いこすり取りや研磨作業は避ける必要があります。
清掃作業では、付着物を乾燥状態で飛ばさないことが重要です。残材の処理方法や清掃範囲も含めて、事前に作業手順を決めておきましょう。
除去の際に注意すべき作業内容
| 作業 | 注意点 |
|---|---|
| 乾燥状態で削る | 粉じんが発生しやすい |
| ワイヤーブラシでこする | 繊維や破片が飛散する可能性 |
| 電動工具で研磨する | 発じん量が増えやすい |
| 破砕して取り外す | アスベスト繊維の飛散につながる |
| エアブローで清掃する | 粉じんを周囲に拡散させるおそれがある |
専門業者に相談すべきケース
以下のような場合は、専門業者への相談を検討しましょう。
- ガスケットの含有有無が判断できない
- 固着が強く、削り取り作業が避けられない
- 対象箇所が広範囲にある
- 高所・狭所・高温設備まわりの作業を伴う
- 作業者側で適切な飛散防止策を判断しにくい
- 廃棄物の扱いまで含めて管理が必要
アスベスト含有ガスケットについてよくある質問(FAQ)

アスベスト含有ガスケットは、現場条件や設備の使用状況によって判断が分かれることがあります。ここでは悩みがちな実務上の疑問を整理します。
Q1. アスベスト含有ガスケットのアスベストレベルは?
A. アスベスト含有ガスケットは、吹付け材のような高発じん性の材料ではなく、成形されたシール材として扱われることが一般的です。そのため、実務上はレベル3相当の飛散防止対策が参考になります。ただし、固着・劣化・破砕の状態によって発じんリスクは変わります。
Q2. アスベスト含有ガスケットはどのように処分しますか?
A. 除去物は飛散しないよう分別・保管し、廃棄物区分に応じて適正に処理します。通常の廃材と混ぜず、処分先や収集運搬業者の受入条件を事前に確認することが重要です。
Q3. ガスケットが固着して外れない場合はどうすればよいですか?
A. 無理に削ったり、電動工具で研磨したりすると粉じんが発生しやすくなります。湿潤化を行い、可能な限り破砕を避けて取り外す方法を検討し、難しい場合は専門業者へ相談してください。
Q4. アスベスト含有ガスケットの採取は誰でもできますか?
A. サンプリング(採取)作業は、石綿障害予防規則に基づく作業環境の確保と、適切な保護具の着用が必要です。分析機関への依頼を前提とする場合でも、採取時の飛散リスクがあるため、実務上は石綿調査者または専門業者への依頼が推奨されます。
Q5. 少量のガスケットでも事前調査の対象になりますか?
A. 解体・改修工事に伴って設備部材を扱う場合は、少量でもアスベスト含有の可能性を確認する必要があります。数量の多寡ではなく、対象部材に含有の可能性があるかで判断します。
Q6. 交換時は非アスベストガスケットを選べばよいですか?
A. 交換時は非アスベスト品を選ぶことが基本です。ただし、温度、圧力、流体、薬品性、締付条件に合わない製品を使うと、漏れや劣化の原因になるため注意が必要です。
アスベスト含有ガスケットは解体・改修前の確認が重要
アスベスト含有ガスケットは、配管や設備まわりに残りやすいシール材です。建物の仕上げ材だけを確認していると、フランジ部やバルブ周辺の古いガスケットを見落とすおそれがあります。
確認時は、見た目だけで判断せず、図面・仕様書・メーカー資料・公表リスト・石綿含有建材データベースなどを組み合わせて確認することが重要です。製品名や型番が分からない場合は、分析調査も検討しましょう。
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【参考文献】
厚生労働省・環境省:「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」
厚生労働省:「石綿総合情報ポータルサイト(改正石綿則のポイント)」
厚生労働省:「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】」
厚生労働省:「石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について」
国土交通省・経済産業省:「石綿(アスベスト)含有建材データベース」
国土交通省:「目で見るアスベスト建材(第2版)」
環境省:「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」
環境省:「特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去等作業マニュアル」
アスベスト処理推進協議会:「アスベスト含有シール材除去回収ガイドライン」

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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