グローブバッグ工法とは?アスベスト除去の条件・手順・注意点

配管などに施工されたアスベスト含有保温材を部分的に除去するときに用いられるのが「グローブバッグ工法」です。除去箇所をグローブ付きの袋で覆い、その内部で作業することで、アスベスト粉じんが周囲へ広がるのを抑えます。
ただし、グローブバッグを取り付けるだけで対策が完了するわけではありません。密閉状態の確認や湿潤化、作業終了後のHEPAフィルタを通した排気など、定められた措置を確実に行う必要があります。
この記事では、グローブバッグ工法の仕組みや使える場面、施工の流れ、作業時の注意点を解説します。現場での工法選定や施工計画を検討する際にお役立てください。
【本記事の要約】
・グローブバッグ工法は、アスベスト除去箇所を袋で局所的に隔離して作業する方法
・配管のアスベスト含有保温材など、作業範囲を限定できる除去で用いられる
・密閉確認、湿潤化、HEPAフィルタを通した排気など、所定の措置を確実に行う必要がある
- 1. アスベスト除去のグローブバッグ工法とは?
- 1.1. 手袋付きの袋で除去箇所を局所的に隔離する
- 1.2. 所定の条件を満たせば通常の隔離等と同等以上の措置になる
- 2. グローブバッグ工法はどんな場所で使える?
- 2.1. 配管のアスベスト含有保温材などで用いられる
- 2.2. 通達上は吹付けアスベスト等や保温材等の除去にも位置づけられる
- 2.3. 密閉できない場所や広い範囲の除去には向かない
- 3. グローブバッグ工法は通常の負圧隔離と何が違う?
- 3.1. グローブバッグを設置するだけでは条件を満たさない
- 3.2. 隔離する範囲や排気方法が異なる
- 4. グローブバッグ工法ではどのような手順で除去する?
- 4.1. 必要な工具を入れてグローブバッグを設置する
- 4.2. スモークテストなどで密閉状態を確認する
- 4.3. アスベスト含有部分を湿潤化して除去する
- 4.4. 取り残しを確認して除去面を処理する
- 4.5. HEPAフィルタを通して排気してからバッグを取り外す
- 5. グローブバッグ工法で注意すべきことは?
- 5.1. グローブバッグ工法でも呼吸用保護具は必要
- 5.2. バッグの密閉不良を防ぐ
- 5.3. 工具でバッグを傷つけない
- 5.4. 脱落や破損が起きた場合は作業を継続しない
- 5.5. 工具を外へ出すときも付着物に注意する
- 6. グローブバッグ工法についてよくある質問
- 6.1.1. 屋外でもグローブバッグ工法は使える?
- 6.1.2. 高温の配管にもグローブバッグを使用できる?
- 6.1.3. 使用したグローブバッグは再利用できる?
- 6.1.4. グローブバッグ工法なら届出は不要?
- 7. グローブバッグ工法では密閉管理と適切な工法選定が重要
アスベスト除去のグローブバッグ工法とは?

グローブバッグ工法は、アスベストの除去箇所を手袋付きの袋で覆い、袋の内部で作業する部分隔離工法です。主に配管の保温材など、局所的な範囲を除去する際に用いられます。
手袋付きの袋で除去箇所を局所的に隔離する
グローブバッグは、袋と作業用の長手袋が一体になった部分隔離用の資材です。除去する箇所を袋で覆って密閉し、作業員は外側から手袋部分に腕を入れて作業します。
除去作業をバッグの内部で行い、取り外したアスベストも内部に保持することで、周囲への粉じんの漏えいを抑える仕組みです。グローブバッグは、袋と作業用の長手袋が一体になった部分隔離用の資材です。除去する箇所を袋で覆って密閉し、作業員は外側から手袋部分に腕を入れて作業します。
除去作業をバッグの内部で行い、取り外したアスベストも内部に保持することで、周囲への粉じんの漏えいを抑える仕組みです。厚生労働省・環境省の「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」でも、グローブバッグ工法は、除去箇所を袋状の用具で部分隔離して作業する方法として示されています。
所定の条件を満たせば通常の隔離等と同等以上の措置になる
石綿障害予防規則第6条では、吹付けアスベスト等やアスベスト含有保温材等を切断などによって除去する場合、作業場所の隔離や集じん・排気、負圧管理などの措置が定められています。
一方、厚生労働省の通達(令和2年8月4日付 基発0804第8号)では、次の条件をすべて満たしたグローブバッグ工法が、第6条第1項ただし書の「同等以上の効果を有する措置」に含まれるとされています。単に袋で囲えばよい工法ではない点に注意しましょう。
グローブバッグ工法はどんな場所で使える?

グローブバッグ工法は、配管などに施工されたアスベスト含有保温材を局所的に除去する場面で多く用いられます。除去範囲が広い場合や、バッグで十分に密閉できない箇所では別の工法を検討します。
配管のアスベスト含有保温材などで用いられる
代表的なのは、設備配管に施工されたアスベスト含有保温材を部分的に除去する作業です。直管部分だけでなく、エルボや継手、バルブ周辺などでも、形状や作業スペースを確認したうえで適用を検討します。
ただし、「配管であれば必ずグローブバッグ工法を使える」というわけではありません。除去対象を十分に覆えるか、取り付け部を密閉できるか、バッグ内部で必要な作業ができるかを確認する必要があります。
通達上は吹付けアスベスト等や保温材等の除去にも位置づけられる
厚生労働省の通知では、グローブバッグ工法による同等措置の対象として「吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等」が示されています。
一方、実際の工法選定では、対象の形状や除去範囲、バッグの密閉性などを踏まえた判断が必要です。特に広範囲の除去では、作業場所全体を負圧隔離する方法なども含めて検討します。
密閉できない場所や広い範囲の除去には向かない
グローブバッグ工法は、局所的に密閉できることが前提です。周囲に設備が密集している、バッグを固定するスペースがない、除去範囲が大きいといった場合は、施工性や密閉性が低下する可能性があります。
【現場条件と工法選定の考え方】
| 現場条件 | 工法選定の考え方 |
|---|---|
| 除去箇所が配管保温材などで限定されている | グローブバッグ工法を検討しやすい |
| バッグで十分に密閉できない | 別の工法を検討する |
| 除去範囲が広い | 負圧隔離などを含めて検討する |
| 周囲に障害物が多い | 密閉性と作業スペースを事前に確認する |
グローブバッグ工法は通常の負圧隔離と何が違う?

通常の負圧隔離は作業場所全体を隔離して負圧管理します。グローブバッグ工法は除去箇所を局所的に密閉する方法で、所定の条件を満たした場合に同等以上の措置として扱われます。
グローブバッグを設置するだけでは条件を満たさない
グローブバッグ工法を「同等以上の効果を有する措置」とするには、次の対応をすべて行う必要があります。
- 除去箇所をグローブバッグで覆って密閉する
- 作業開始前にスモークテストまたは同等の方法で密閉状態を確認する
- 漏れがあれば作業前にふさぐ
- 除去前に対象材料を湿潤な状態にする
- 除去後、密閉を解く前に除去部分を湿潤化する
- バッグを取り外す前に内部の空気をHEPAフィルタを通して抜く
- 工具を持ち出す前に付着物を除去するか、梱包する
以上は厚生労働省の石綿障害予防規則の解説で明示されています。
隔離する範囲や排気方法が異なる
グローブバッグ工法と通常の負圧隔離では、隔離する範囲や排気方法、前室等の設置などに違いがあります。
【グローブバッグ工法と通常の負圧隔離の違い】
| 比較項目 | グローブバッグ工法 | 通常の負圧隔離 |
|---|---|---|
| 隔離する範囲 | 除去箇所を局所的に密閉 | 作業場所全体を隔離 |
| 負圧・排気 | 取り外し前に内部空気をHEPAフィルタを通して抜く | 作業場所と前室を負圧に保ち、集じん・排気装置で排気 |
| 前室等 | 同等措置として示された条件に前室・洗身室・更衣室の設置は含まれない | 前室・洗身室・更衣室を設置 |
| 密閉等の確認 | 作業前にスモークテストまたは同等の方法で確認 | 負圧や集じん・排気装置の状態などを点検 |
| 主な使い方 | 配管保温材などの局所的な除去 | 広い範囲の吹付け材・保温材等の除去など |
グローブバッグ工法ではどのような手順で除去する?

基本的な流れは、バッグの設置、密閉確認、湿潤化、除去、取り残し確認、除去面の処理、バッグ内の排気、取り外しです。作業中も密閉状態を維持することが重要になります。
必要な工具を入れてグローブバッグを設置する
まず、ケレン棒やカッターなど必要な工具をグローブバッグ内部へ入れ、除去対象を十分に覆うように取り付けます。配管などとの取り付け部分に隙間が生じないよう、テープ等で確実に密閉します。
スモークテストなどで密閉状態を確認する
除去を始める前に、スモークテストまたはそれと同等の方法で密閉状態を確認します。漏れが見つかった場合は補修し、密閉できていることを確認してから作業へ進みます。
湿潤化のための管などをバッグに差し込む場合も、その挿入部分から漏れが生じないように密閉することが必要です。
アスベスト含有部分を湿潤化して除去する
密閉を確認したら、除去対象のアスベスト含有材料を湿潤な状態にします。その後、外側からグローブに手を入れ、バッグ内部で工具を操作して除去します。
乾燥した状態で作業すると粉じんが発生しやすいため、材料の状態を確認しながら湿潤化を維持することが大切です。
取り残しを確認して除去面を処理する
除去後は、配管や下地にアスベスト含有材料が残っていないか確認し、必要に応じて清掃します。取り残しがないことを確認したうえで、密閉を解く前に除去した部分を湿潤化します。
マニュアルでは、除去面に粉じん飛散防止処理剤を散布する手順も示されています。
HEPAフィルタを通して排気してからバッグを取り外す
除去が終わっても、すぐにグローブバッグを外してはいけません。取り外す前に、バッグ内部の空気をHEPAフィルタを通して抜きます。
その後、粉じんが外部へ漏れないようバッグを密封して取り外し、廃棄物専用袋に入れて適切に処理します。
【グローブバッグ工法の基本手順】
| 工程 | 主な作業 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 工具準備・バッグ設置 | 除去範囲を十分に覆い、隙間なく固定する |
| 2 | 密閉確認 | スモークテスト等で漏れを確認する |
| 3 | 湿潤化 | 除去前に対象材料を湿潤な状態にする |
| 4 | 除去 | バッグ内部で作業する |
| 5 | 確認・清掃 | 取り残しの有無を確認する |
| 6 | 除去面の処理 | 密閉を解く前に除去部分を湿潤化する |
| 7 | 内部空気の排気 | HEPAフィルタを通して空気を抜く |
| 8 | 密封・取り外し | 粉じんを漏らさず、適切に梱包・処理する |
グローブバッグ工法で注意すべきことは?

グローブバッグ工法では、作業中も密閉状態を保つことが重要です。バッグの破損や脱落、工具の持ち出しなどによってアスベスト粉じんが漏れないよう、施工前に手順を整理しておきます。
グローブバッグ工法でも呼吸用保護具は必要
グローブバッグで除去箇所を隔離していても、作業員のばく露防止対策が不要になるわけではありません。厚生労働省の資料では、グローブバッグによる吹付け材や保温材等の除去について、作業内容に応じた呼吸用保護具と保護衣または作業衣の使用が示されています。現場条件に応じて適切な保護具を選定してください。
バッグの密閉不良を防ぐ
グローブバッグ工法は、バッグの内部と外部を確実に隔てられていることが前提です。取り付け部分に隙間がある状態では、適切な部分隔離になりません。
作業開始前に密閉状態を確認するだけでなく、湿潤化用の管を挿入した後など、漏れが生じる可能性のある箇所にも注意しましょう。
工具でバッグを傷つけない
バッグ内部ではカッターやケレン棒などを使用するため、工具による破損にも注意が必要です。鋭利な部分をバッグへ強く当てないよう、作業手順や工具の配置を事前に検討します。
また、除去物をバッグ内部にためすぎると重量が増し、固定部分のずれや脱落につながるおそれがあります。バッグへ過度な荷重をかけないことも重要です。厚生労働省の検討資料でも、バッグを破損させないことや、脱落につながる重量物を入れないことが留意事項として挙げられています。
脱落や破損が起きた場合は作業を継続しない
万一、作業中にグローブバッグが脱落するなどの異常が生じた場合は、そのまま除去を続けないようにします。
厚生労働省・環境省のマニュアルでは、脱落等が生じた場合は、粉じん飛散防止処理剤や水などで速やかに湿潤化し、高性能真空掃除機で十分に清掃する手順が示されています。
工具を外へ出すときも付着物に注意する
使用した工具にはアスベストが付着している可能性があります。グローブバッグから工具等を持ち出す際は、あらかじめ付着物を除去するか、外部へ粉じんを持ち出さないよう梱包します。
グローブバッグの密閉性だけでなく、工具や廃棄物を介した二次的な持ち出しまで含めて管理することが必要です。
グローブバッグ工法についてよくある質問

グローブバッグ工法では、名称の違いや屋外・高温配管での使用、使用後の処理など、現場条件によって確認したい点があります。ここでは、本文で触れていない実務上の疑問をQ&A形式で整理します。
屋外でもグローブバッグ工法は使える?
屋外での施工例もありますが、風や雨、足場条件などでバッグの固定や密閉性が損なわれないことが前提です。屋外かどうかだけで決めず、現場条件から適用可否を判断します。
高温の配管にもグローブバッグを使用できる?
耐熱仕様のグローブバッグもありますが、使用可能温度は製品ごとに異なります。通常品を高温配管へ使用せず、メーカー仕様を確認したうえで適切な製品や施工条件を選びます。
使用したグローブバッグは再利用できる?
使用後のグローブバッグにはアスベストが付着しているため、再利用は行いません。密封した状態で廃棄物用の袋に入れ、除去したアスベストとともに適切に保管・運搬・処分します。
グローブバッグ工法なら届出は不要?
グローブバッグ工法を採用しても、届出は省略できません。吹付けアスベストや、アスベスト含有の断熱材・保温材・耐火被覆材の除去は、大気汚染防止法の「特定粉じん排出等作業実施届出書」の対象です。発注者(自主施工の場合は自主施工者)が、作業開始の14日前までに都道府県等へ届け出ます。労働基準監督署への届出など、労働安全衛生法令上の手続きが必要な場合もあるため、工事ごとに確認しましょう。
詳しくは関連記事「アスベスト対策工事に必要な届出とは?」で解説しています。
グローブバッグ工法では密閉管理と適切な工法選定が重要
グローブバッグ工法は、配管のアスベスト含有保温材などを局所的に除去するときに活用できる方法です。ただし、作業場所全体を負圧隔離しないからといって、対策を簡略化できる工法ではありません。
作業箇所を確実に密閉し、除去前の湿潤化、作業後の除去面処理、HEPAフィルタを通した排気などを一つずつ確実に行うことが重要です。対象建材や施工範囲、周囲の設備条件を確認し、現場に適した工法を選定しましょう。
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【参考文献】
厚生労働省:「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」
厚生労働省:「石綿障害予防規則の解説について」
厚生労働省:「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止」
厚生労働省・環境省:「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和8年2月改正)」
環境省:「大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について」
サンワ・リノテック株式会社:「グローブバッグ」

1980年静岡県浜松市生まれ。2003年に東海大学海洋学部水産資源開発学科を卒業後、2004年に日本総研株式会社へ入社し、分析・環境分野でのキャリアをスタート。2011年には同社の原子力災害対策本部長に就任。その後、世界最大の分析会社グループEurofins傘下の日本法人にて要職を歴任。2017年にユーロフィン日本総研株式会社、2018年にはEurofins Food & Product Testingの代表取締役社長に就任。さらに、埼玉環境サービス株式会社取締役、ユーロフィン日本環境株式会社の東日本環境事業及び環境ラボ事業の部長も経験。2021年にアルフレッド株式会社を創業し、代表を務める。特定建築物石綿含有建材調査者、環境計量士(濃度)、作業環境測定士(第一種)、公害防止管理者(水質一種)の資格を保有し、20年以上にわたる環境・分析分野での豊富な実務経験と専門知識を活かし、持続可能な環境構築に貢献。
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